樹海
@sy9980
第1話
大型ショッピングモールの一角に、ガチャガチャの専門店がオープンした。
四方八方をカプセルトイマシンに囲まれ、フロアいっぱいに積みあげられている。
一歩足を踏み出せば、まるで別の世界に迷い込んだような錯覚をしてしまいそうだ。
土曜日に訪れたので、家族連れや友だち同士、カップルでけっこう混んでいた。
私がそこで見つけたのは日本酒のミニチュア。何としてでも全五種をコンプリートして、百均の木箱に飾りたいと思った。
開ける瞬間のワクワク感と、何が出るかわからないドキドキ感がたまらない。
コンプリートした時の達成感はまさに格別だろう。
けれど、どんなに回してもかぶりしか出てこない。あと残り1種類ゲットできたら、終了になるのに。
「もう一回!」が何十回にもなっているのは、ドーパミンの大放出で私が暴走しているからだった。
いつまでたってもこの場から立ち去れず、抜け出すことができない。ああ、家に帰りたい。
翌日、家族から行方不明者届を提出された。
樹海 @sy9980
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます