ソウルアーツ

名瀬祈

0 エピローグ

視界はすべて、暗く、黒い。


生命の息吹は感じられず、もう自分しかいないのだとわかる。


立ち止まってしまいたい。

守りたいものも、大切なものもいない世界。進む意味などない。


それでも歩みを止めることができないのは、その身に宿った「願い」のせいなのか。



―――世界の終焉。



この光景を目にしているのが、自分だけというのは…きっと救いなのだ。



そう…そう思いながらも…諦められない。

黒い視界を当てもなく進む。いつか、辿り着ける「どこか」を目指して。


そう意識した途端、目の前に、黒い光が映る。

周囲の黒よりも黒く、暗いにも関わらず眩しく感じる。


その中から、声がする。



「もし、この現状を変えられるとしたら…どうする?」



どんな困難でも立ち向かう。



「その代償として、自分のこれからを無くすとしたら?」



考えるまでもない。


その答えは――決まっている。

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