君は俺の“一等星”
アルタイル
第一話「危なっかしいやっちゃで」
「なんかつまらんなぁ」
そう口から零しながら、夕暮れの日が赤く染める廊下を歩く青年。
文化祭が近づいてるのか、どの教室にも人が残っている。
「もう、そんな季節か」
高校三年生の佐藤
「最後の文化祭なんかしたいけどなぁ」
幹也には趣味があったが、恥ずかしくて出し物としてもクラスメイトに話すらしたことはない。
「ん?何してるんやろあの子、、、」
校舎を出て裏庭にかかる渡り廊下で一つの影に目がとまる。
「あ、歌ってるんか」
幹也はその子が歌っている事に気づき、その姿に惹かれるように廊下を出る。
「あっ、、、」
彼女は幹也に気づいたのか歌うのやめ目が合う。
「あ、すまん!おどかすつもりはなかったんや。やけど綺麗な歌声やなって思わず聴き入ってもうた。」
土下座をする勢いで謝る幹也。
「ありがとうございます。褒めてもらえるなんて光栄です。ましてや幹也先輩に」
彼女は照れながらもお辞儀で返す。
「え?なんで俺の名前知ってんの?」
驚きを隠せず土下座の体制から後退りをするような体制へと移行している。
「あ、その、え、えっと、、、あれです!生徒会選挙で応援演説してましたよね!それでです!」
あたふたしながらも説明をする彼女。
「あぁ、
照れアピールのように頭を掻きながら納得する幹也。
「文化祭での出し物としてやるん?」
「そうです!でも歌う曲が曲なのでギターが弾けて歌える人いたら理想ですけど、、、、、、」
まるで俺がギターが弾けて歌えるのを知ってるかのように問いかける彼女。
「俺がなんでギター弾けるの知ってるのかは知らんけど。それはさておき、そんな人めったにおらんやろうし、軽音部とかから誘ってみたら?」
幹也は初対面の人とましてや異性と弾き語りなんてできる勇気がなかったので他の人をあたるように促す。
「まぁそうですよね。そうしてみます」
少し残念そうにも見える彼女。なんで残念そうにしてるんだと思う幹也。
「そうだ!でもここで出会ったのもなんかの縁ですし文化祭まで歌の練習をしてるんで聴いて感想貰えないですか?ひとを見つけるまでで、いいんで!!」
いいことを思い付いたのか先程とは違う態度で迫ってくる彼女。
「まぁ、でも俺、君の名前すら知らへんのはなぁ」
「あ、そうでした!遅れました!私、赤松
ペコリとお辞儀をする彼女。
「俺の名前は知ってそうやけど一応、佐藤 幹也って言うねん。よろしくな。まぁ一緒には考えてへんけど俺も弾くか迷ってたとこやし練習がてらならええよ」
「本当ですか!?ありがとうございます!!幹也先輩!」
彼の右手を両手で握りながら嬉しそうにする彼女。幹也はあまり異性からそのような態度をされる経験がないため顔を赤くする。
「名前呼び!?」
「ダメですか?」
上目遣いで見つめる彼女。これは変なもんに引っかかってしもうたと思う幹也。
「ええよ、ええよ別に。練習は今日はもう日も暮れて来てるし明日からにするか」
気づけばもう一番星が目立つの暗さだった。
「わかりました!今日はもう帰りますね!」
「おう。気をつけてな」
「約束破らんといてくださいよぉ」
走りながら幹也の方を向き指を指す彼女。
「約束は破らんから前見て走れよ!危ないから!」
「あいてっ!?」
柱にぶつかる彼女。
「だからゆったのに、、、、、、」
やけに危なっかしいなぁと思う幹也であった。
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