スケッチブック

植田伊織

沈黙に対する言葉と正気の特権

 時折、気道前に鼠が居座って、円滑な酸素を循環させるのを邪魔するけれど、

それが酷くならない事を私は知っている。


 全ての連絡手段は遮断され、私は忌諱となったから。


 深々と雪のように降り積もる沈黙を、断罪ととるか、赦しととるかは、


 正気と言葉を捨てなかった者のみに、許された特権である。


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