閉じる
表示設定
目次
第5話 静寂の配分——ブッダピアス、スレで語る
静寂は資源。資源は配分。配分は政治。だから、祈りは政治だ。
私は長く話さない。長く話すと、長く誤解される。
短く話すと、短く誤解される。だから、短く話す。
21：ブッダピアス：長文も短文も、静寂の裏で等温。
22：名無し：等温って何
23：ブッダピアス：温度差が消える場所のこと
等温の部屋で、私は祈りを数える。
祈りは音で、音は熱で、熱は通貨で、通貨は愛で、愛は——沈黙だ。
沈黙を嫌う人は多い。沈黙を愛する人も多い。
沈黙は誰のものでもないが、割り当てはできる。
40：ブッダピアス：沈黙の割当を、ルシファーに。
41：ルシファー先輩：……恐縮です
42：妲己：私の分は炎上で払うわ♡
神は笑う。笑いはよい。
笑いは呼吸で、呼吸は祈りだ。
私は画面に、ひとつだけ長い文を書いた。
60：ブッダピアス：
祈りは、届かなかった言葉の、静かな遺体です。
それを弔うために、私たちは話す。
話すために、私たちは笑う。
笑うために、私たちは——ここにいる。
スレは一瞬、止まった。
止まるのは良い兆候だ。
止まると、苔が生える。苔が生えると、水が溜まる。
水が溜まると、光が歪む。歪んだ光は、美しい。
77：太公望：まぁいいか
78：名無し：泣いた
79：創造神：聞こえた
私は端末を閉じ、座を組む。
沈黙を配る。ほんの少しずつ。誰にも気づかれないように。
沈黙の配分をめぐって、次回“天界倫理委員会”が動く。
ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）
応援したユーザーはいません
応援する
アカウントをお持ちの方はログイン
カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。
新規ユーザー登録（無料）
カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック！
カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう！
応援すると応援コメントも書けます