君と星空を見上げて
かえで
第1話 変わらぬ日々
「……楽しそうだなぁ」
窓の外を眺めて、私はつぶやいた。
――ここは、水島病院。水島区にたった一つの病院。そこのベットで私は寝転びながら窓を眺めていた。
窓の外。わぁわぁきゃぁきゃぁ騒いでいる同じ年代くらいの子達が騒いでいる。
ボールがあっちらこっちらに飛んで、いかにも楽しそう。
「……いいなぁ。ああやって走れるの」
私はもう、長時間は立ってられない。
走るとか、飛ぶだとかはもう無理。
日によっては、起きあがるのだってしんどい。
原因不明で、日に日に体のいろんな機能がおちていく。
だから……いつか、死に、追いやられることがあるかもしれない……。
どうして私がって、思うけど。
それはただの現実逃避でしかなくて。
「……あ、また」
窓の外で、男の子が一人、リフティングをしている。
大体いつも4時くらいになると、この男の子がリフティングをしているんだ。
リストバンドをつけ、汗をぬぐいながらリフティングをする男の子の姿に、目が吸い付けられる。
だんだん上手になってくるその姿に、ちょっとだけ嬉しくなる。
ずっと、ずっと、変わらずにボールを蹴り続ける姿に励まされる。
いつか、あの子みたいにボールを蹴りたい。
無理な夢だけどね。
ポーン、ポーン、ポーン……
今日もまた、私は変わらぬ日々を過ごす。
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