『教室使用継続に関する報告』

文責不明

教室使用継続に関する報告

私は子どもたちを救わなければならない。

あの酷い教育と、戦争から。

焼けた油の臭いが、今も喉に残っている。

空からも、地面からも、すべてが一瞬で消えた。

助かったのは、私だけだった。

なぜ私だけなのか、何度も考えた。

私の教室には、知らない人がいた。

子どもたちと、楽しそうに笑っていた。

許せなかった。

その笑顔は、私のものだ。

あなたのものではない。

だから、いつも来られなくしてあげた。

ほら、また来たでしょう。

先生の声が、聞こえたでしょう。

大丈夫。

先生が、ずっと見ているから。


【報告書】

東京都〇〇〇小学校

五年二組 教室内

※学校名伏せ

【対象者】

立場 花子(22歳)

女性(未婚)

当時:同校五年二組担任教諭

【事案概要】

1945年、東京都大空襲発生時、教諭は担当学級児童を引率し、校外への避難を開始。

空襲警報下において、避難経路の誤認が確認され、結果として焼夷弾が集中投下された地域へ

進入したものと推定される。

当該行動により、担当学級児童は全員死亡。

本人のみ生存を確認。

【事後経過】

空襲終結後、当該教諭は現場付近にて保護され、身体的外傷は軽微であった。

しかしながら、引率判断および避難経路選択に関して、保護者および学校関係者より重大な過失があったとして強い非難を受けた。

一部保護者からは、責任の所在を明確にするよう

学校側へ継続的な申し入れが行われた。

【最終確認事項】

その後、当該教諭は出勤を停止。所在不明の状態が続いていた。

後日、倒壊した校舎内五年二組教室にて死亡を確認。

死亡時刻および死亡に至る詳細な経緯については

正確な特定に至っていない。

【備考】

当該教室においては、戦後も使用再開後、

担任不在の日を中心に、児童より

「先生に呼ばれた」

「教室に誰かがいる」等の証言が

断続的に報告されている。

本件については、風評被害を考慮し、特段の説明を行わず、通常の学校運営を継続するものとする。

以上

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『教室使用継続に関する報告』 文責不明 @kurenainosyake

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