仮題:現代日本転生+現代ダンジョン

インスタント脳味噌汁

プロローグ

死んで転生した先も現代日本だった。特に転生する際、神とか超次元的な存在とかには会ってない。転生した後でよく会うようになったけど。


今世はちょっと、時々異界という別世界へのゲートが開かれ、たまにモンスターや化け物や別世界の軍隊が押し寄せて来る現代日本。噂によると週一で世界の危機が訪れているそうで、週刊世界の危機である。


その異界を攻略するための存在が探索者であり、自分がこれから人生二度目の高校生活……高専生活を過ごすのは、国が探索家を育てるための教育機関。


異界探索者高等専門学校、略して『探高たんこう』である。その炭鉱と間違えそうな略し方はどうにかならなかったのか。


探索者は人気の職業だが、同時に危険な職業であり、意図的に異界に入るためには資格が必要となる。無資格で異界に意図的に入ると犯罪扱いだ。医師免許がないのに手術するぐらいの犯罪であり、悪質だと禁固刑があり得る。


異界の探索の報酬は、異界の知識、異界の薬、異界の機械。異界の貴金属等々多岐に渡り、一攫千金を目指して多くの人が資格の取得を目指すのだとか。希望者が多いために、資格取得の難易度は跳ね上がり、年1回の一般試験での合格率に関して昨年は3%を下回った。


その異界探索の資格が入学時点で得られる探高の倍率もまた、凄まじい数字になっている。倍率は非公開なので分からないが、一説によると一般入試の倍率は1000倍とのこと。そんな所への推薦入学が決まった時点で、もう何か嫌な予感しかしないけど、国から進学先を指定された時点で自分に拒否権はなかった。




その男はごく普通の人間だった。中肉中背で身長は170センチ少し超えた程度。それなりの偏差値の大学を卒業後、そこそこブラックな企業に勤め、そこそこのお金を稼ぎ、中古の小さな一軒家に住んでいるとは言えそこそこ良い生活をしていた。


男は趣味としてクトゥルフ神話TRPGを始めとしたTRPGを好み、休日はよく仲間内で卓を囲んだりTRPG動画を見ている、普通の人間だった。


特にマンチやルーニー……ズルや奇抜なRPを好んでいたわけではない。仲間内にはそういう類の人間も居たが、男は単純にハッピーエンドを目指すため、どちらかというと影の薄い存在であった。


そんな男はある日、事故に遭い、死亡した後、二度目の人生を送ることとなる。特に神と出会うこともなく、気がつけば赤ん坊としてベッドの上にいた。前世の親と今世の親で変わったところは特にない。


そしてその二度目の人生は、幼少期から波乱が続いた。


ある時は目を覚ますと五角形の部屋に閉じ込められていた。


目の前の机の上には、青い液体で満たされた皿があり、まるでとあるクトゥルフ神話TRPGのシナリオのようだと男が思った瞬間に腐卵臭のような悪臭を感じる。メモが落ちているが、そのメモに書かれている言葉は一言一句、男にとっては既知の内容だった。


周囲を見渡すと全ての辺に扉があり、それぞれ違った雰囲気だったが、小窓付きの鉄扉を見た瞬間、その奥にいるはずの存在を想像してしまい、男は少し震える。男が知っているシナリオではそこに化け物が居て、興味本位で見て発狂はしたくなかったためだ。


やけにリアルに感じられたため、男は一応正規のルートでクリアを目指そうと記憶にある通りの部屋、図書室に行き、とある題名が書かれた真っ白な本を探すが、四方に本棚がある薄暗い部屋の中で本を探す作業は難しく、ただただ時間だけが過ぎることに男は慌てる。


仕方なく男は木製の扉に入り、中にいる真っ白な名も無き少女に名前を付け、一緒に脱出しようと声をかける。その後、記憶通りの場所にあった毒が入っている小箱を入手した。


その毒を青い液体で満たされた皿に入れ、少女と一緒に飲む。死を覚悟していた男は、それでも襲い来る激痛に悶え苦しみ、前世含めて2度目の死の痛みを感じた。


……やがて視界が真っ白になり、声が聞こえ、意識が戻った頃。いつも通りの寝室に男は居た。隣には、何故か夢の中で会った真っ白な少女も横たわってすやすやと寝息を立てている。髪の毛も肌も真っ白であり、何故かやたらと男に好意的な少女。


この夢をきっかけに、男と少女は現実ではあり得ない非日常に巻き込まれていく。なお、そのほとんどの非日常を男は知っていた。前世での高校時代、大学時代、ひたすら仲間内と卓を囲んだ結果、男は様々なシナリオをプレイし、様々なシナリオ本に手を出した上、リアルクトゥルフ神話技能も著しく高かったためである。


男は無限の魔力を手にしたり、少女が半神化した結果、異界探索者専門高等学校の教師に目を付けられる。半ば強引に探高に進路を決められ、HPを見るが在学中死亡率13%という数字を目にして憂鬱になり、5年での卒業率は78%という数字にどうしようもない不安を抱いた。

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次の更新予定

2026年1月2日 21:00
2026年1月3日 21:00
2026年1月4日 21:00

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