第2話

「平凡に、普通に、ね。前世でもそうだったよね。それが君の望みってことでいいのかな?」

「はい」

 私は答えた。


「謙虚だなあ。だからこそ選ばれたとも言えるけど」

 神はまた面白そうに言った。


「平凡に、普通に。その願い、叶えよう」

 彼は言った。


 直後、杖からまばゆい光が発せられる。

 私は思わず目を閉じ、両腕で目をかばった。






 光が収まると、私は小屋のような家の中にいた。


 私の家だ、と直感的にわかった。


 内装はヨーロッパの古い家のようでいて、違った。かまどはスイッチ一つで火がついて、レバーで火力調節もできた。照明も壁のスイッチでオンオフができた。どういう仕組みなのかはわからない。トイレもお風呂も現代に近いものが存在していて、私はほっとした。


 外に出てみると、外観もヨーロッパのようだった。本物を見たことないけど。


 まじまじと家を見ていると、通りすがりの女性に声をかけられた。


「こんにちは。もしかして新しい転生者さん?」


「えっ……」

 私は驚いて彼女を見た。どうしてわかるんだろう。そういう能力の持ち主だろうか。


「新しくこの家ができたから、きっとまた転生者が来るのね、と予想してたの」


「そうですか」

 能力とかではなかったらしい。


「私も転生者なの。この街は転生者ばかりでできているのよ」


「そうなんですね……」

 神が言った通りのようだ。ならば見た目はともかく中身は現代人ばかりということだろうか。


「あなたはなんの能力をもらったの?」

 彼女は屈託なく聞いてくる。


「なにもないです」

「またまたあ。もらうでしょ、普通」


「いえ、必要ないと思ったので」

「ええ!?」


「あなたはなにかもらったんですか?」

「癒やしの力をもらったわ。癒やしてあげるわね」

 そう言って、彼女は私のおでこに手を当てた。なんだかあたたかくなって、ほっとするような感覚があった。


「ありがとうございました」

「どういたしまして」

 彼女はにっこりわらった。


 「ここにいる人たちはね、みんな誰かを助けたいと思ってる優しい人たちばかりなのよ。遠慮なく頼るといいわ」

 彼女はそう言って去って行った。

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