本が恋人の私が人に恋をするなんて思っていなかった

はるのさくら

第1話 不思議な夢

 心地の良い気候、晴れた青い空。

 場所は公園。

 ピンクや白のツヅジが咲いている。5月だろうか?

 晴華(はるか)はそこでいつもの子と遊んでいる。性別はわからない。とにかくその子は可愛い。

 まん丸の目、丸い顔、色素の薄い肌と髪。

 今日は砂場で遊んでいた。

 山を作って、トンネルを掘る。トンネルが開通すると二人でキャッキャッと笑いあう。

 ほのぼのとした光景だ。

「僕ね、将来は晴華と結婚するんだ!」

 その子は男の子だったみたいだ。

 言われた晴華は喜んで「ありがとう!」と言っている。

「何があっても晴華のこと、僕が守るからね」

 これは夢と思いながらも嬉しくもあり、ドキドキもある。

 こんな幸せな時間がずっとずっと続いたらいいのに・・・そう思っていると遠くから何か音が聞こえる。

 ピピピ ピピピ

 目覚ましの音だ。だんだん夢の景色が遠のき、現実の世界に戻ってくる。

「朝か・・・またあの夢。いつもあの子が出てくる」

 たいていの夢は忘れる。でもあの子が出てく夢は忘れられない。でも誰かは分からない。

 頭にこびりつくような不思議な夢だ。嫌ではないが気になる。

 そんな夢を思い出しながら朝の支度をする。

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