201Xの残像

ヌーバ

掃除中に見つかった断片

水族館で買った、50円のスーパーボール。勢い良く床に落とせば氷床に乗ったホッキョクグマは力なく数回跳ねて地面を転がった。修学旅行2日目にして初の出費だったはずだ。

 修学旅行ノリをそのまま体現したかのような木刀。カバンに入れて隠せる中途半端な長さが、全てを物語っている。鞘から抜けば、さらに短い刀がそこにあった。

 かなりガタがきた3DS。もうあのころには、3DSは時代から取り残され始めていた。壊れかけた十字キーは勝手にコマンドを選んだ。

 変わらず愛用している、三菱9800。紙に強く押し付けすぎてよく芯を折ってしまっていた。今でもシャーペンの芯はよく折れる。あの頃はなおさら。

 今も現役の冬物のコート。変わらなかったのは、身長だけだと信じたいけれど。

 合格祝いに貰った、デジタル式の腕時計。あれから積み重なった誤差は25秒だ。25秒あればフラれることはできるか。

 不注意で側溝に落ちた時の傷は、もう目立たないけれど、地味に残ったまま今も消えない。

 自分勝手なな片想いの末、終ぞ渡せなかった異国のマグネットは、今もカバンの奥底で眠っている。


 

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