[短編] 幼馴染は日韓ハーフの美少女でした!

ミハリ | カクヨム

幼馴染は日韓ハーフの美少女でした!

 作中の韓国語はAIを使って翻訳しているので、もし間違いがあったらすみません……

 もし韓国の方で間違いに気づいた方がいたら、ぜひ教えてください!よろしくお願いします!

 これは短編なんですけど……皆さん、いかがでしたか? もしたくさんの方に気に入ってもらえて、感想もいっぱいいただけたら、長編シリーズにすることも考えています(笑)。

 あわよくば出版社の方の目に留まればな……なんて期待もしつつ(笑)、とにかくこの作品が皆さんに楽しんでもらえたら嬉しいです!!


 ~~~~~~~~~~


「ああ、やばい。数学の教科書忘れた」


 まあ、いつものことだ。教科書を忘れない日は、大抵時間割を間違えている。昨日はゲームに夢中になりすぎて、カバンに入れ忘れたらしい。

 教室の掛け時計に目をやる。予鈴まであと二分。隣のクラスに借りに行くにも、もう遅すぎる。


「はぁ……仕方ないか……」


 俺は隣の席に目を向けた。そこには、見る者が息を忘れるほど綺麗な美少女が座っている。


「ねえ、雪羅(セオラ)さん。ごめん、数学の教科書一緒に見せてもらってもいい? また忘れちゃってさ、はは」


 俺は馴れ馴れしい口調で声をかけたが、内心では少し気後れしていた。彼女、南(みなみ)・雪羅(セオラ)・クラリッサは、ゆっくりとこちらを向いた。整った眉をひそめ、俺をゴミを見るような目で見つめる。呆れと不信感が混ざった表情だ。


「また?! あんた、学校に勉強しに来てるの? それとも物忘れの激しさを自慢しに来てるの?」


 すさまじく冷ややかだが、心地よい声。ちなみに、雪羅(セオラ)は韓国と日本のハーフだ。父親が日本人で、母親が韓国人。透き通るような白い肌に、いつも花の香りがするさらさらした髪。そしてその瞳……。あの鋭い眼差しで見つめられると、まるで法廷の被告人になった気分になる。


「悪いって。人間だもん、間違いも忘れ物もするさ。で、いいかな?」

「……はぁ。ほら、机くっつけて」

「よし! ありがとう、隣の美少女さん!」


 俺はすぐに自分の机を彼女の机に寄せた。雪羅(セオラ)は小さく鼻を鳴らしたが、二人のちょうど真ん中にくるように教科書を開いてくれた。

 雪羅(セオラ)は中学から日本に住んでいるので、日本語は完璧だ。だが、彼女が知らないことを俺は一つ知っている。彼女はイライラしたり恥ずかしがったりすると、よく韓国語で独り言を呟くのだ。


「진짜... 이 바보 같은 타츠야. 맨날 챙겨줘야 한다니까」

(本当にもう……このバカな達也(タツヤ)。結局、いつも私が面倒を見てあげなきゃいけないんだから)


 俺は一瞬、手が止まった。ノートを書こうとした指先が急に固まる。 (待て待て! 「私が面倒を見てあげなきゃ」? そのフレーズ、心臓の健康にはちょっと刺激が強すぎないか?)

 俺の名前は、秋崎達也(タツヤ)。俺の最大の秘密は、韓国語が理解できることだ。親父が昔ソウルで長く働いていて、俺をマルチリンガルにすることに執着していた。

 幼い頃から韓国語の塾に叩き込まれ、今やそのレベルは「堪能」の域。だが、雪羅(セオラ)には一度もそれを明かしたことがない。なぜかって? 独り言を呟いている時の彼女の反応が、最高に面白いからだ!


「何ボーッとしてるの? 先生が来る前に早く書きなさいよ」 雪羅(セオラ)が肘で俺の腕を小突きながら、釘を刺してきた。

「あ、ああ! 今、今書こうとしてたとこ!」


 ――雪羅(セオラ)視点


 どうしてだろう。この人の近くにいると、いつも私の心臓の鼓動がうるさくて仕方ない。

 達也(タツヤ)はガサツで、忘れっぽくて、少し無頓着。なのに、さっき彼が机を寄せた時、服から石鹸の香りがふわりと鼻をかすめて――。私の集中力は完全にどこかへ飛んでいってしまった。

(もう、落ち着いて雪羅(セオラ)! 彼はただの幼馴染よ! 忘れ物が趣味の、ただの大きな赤ちゃんみたいなものなんだから!)

 横目でこっそり**達也(タツヤ)を見た。彼は真面目に問題を写しているけれど、その少し乱れた髪を見ると、なんだか整えてあげたくなってムズムズする。くそ、どうして真剣な時だけあんなに格好よく見えるのよ。


「達也(タツヤ)くん、今月だけでもう三回目だって自覚ある? 忘れ物」緊張を隠すために、できるだけ冷淡な声で言ってみた。

「そうだっけ? 二回目な気がするけど」  彼は悪びれる様子もなく答えた。

「三回目! 一回目は地理、二回目は古典、そして今の数学! あなた、本当に呆れるほどバカね」

「うーん、バカか……バカ……。バカって言われると結構傷つくんだけどな。俺はただ、注意力が少し足りないだけだよ」

「それをバカって言うのよ!」


 私はそっぽを向いて、まだ何も書かれていない黒板を凝視した。でも、口がムズムズして、本音を韓国語で呟かずにはいられない。恥ずかしさを感じずに、正直になれる唯一の方法。

「그래도... 그런 바보 같은 네가 좋아」

(でも……そんなバカなところが、好きなんだよね)


 えっ? 今、私なんて言った?! やだ、心臓が止まりそう! 幸い、彼は韓国語がわからない。チラッと彼を見ると、黙ってノートを書き続けている。良かった。もし意味がバレていたら、恥ずかしすぎて教科書で顔を隠し、そのまま蒸発してしまいたい気分だわ。


「あれ? 雪羅(セオラ)、今なんて言った?」達也(タツヤ)**が突然聞いてきた。 私はビクッと肩を震わせた。

「えっ? 別に……『あなたは本当に豚ね』って言ったのよ。そう、そういう意味!」

「そうなの? なんか、豚って言ってるようなトーンじゃなかった気がするけど」達也(タツヤ)が目を細めて、疑わしそうに私を見つめてくる。

「も、もう! 質問攻めにしないで! 早く問題を解きなさい!」 (危なかった……! なんで急に勘が鋭くなってるのよ?!)


 ――秋崎達也(タツヤ)視点


(豚だって? すごいな、雪羅(セオラ)の翻訳辞書では「好き」が「豚」に変換されるのか。おいおい雪羅(セオラ)ちゃん……、自分の頬が今真っ赤だってことに気づいてないのか?)

 俺は笑いを堪えるのに必死だった。今すぐ韓国語で「俺も好きだよ」と耳元で囁き返したくなったが、この極上のエンタメをもう少し楽しんでいたい自分もいた。

 授業が進む中、ふと横を見ると、雪羅(セオラ)がノートの端に何かを書き始めているのに気づいた。こっそり覗き見ると、そこには小さなカリカチュアが描かれていた。教科書を忘れて泣きべそをかいている俺の顔だ。

 そしてその下に、彼女はとても綺麗なハングルでこう書き込んだ。


「타츠야는 내꺼야」

(達也(タツヤ)は、私のもの!)


 ドゴォォォーン!

 俺は硬直した。世界が止まったような感覚。持っていたペンを落としそうになる。

(私のもの?! 雪羅(セオラ)さん、君って中身は超肉食系で、外はツンデレなタイプだったのか?! こんなの、甘すぎて糖尿病になっちゃうぞ!)


「どうしたの? わからない問題でもある?」さっき所有宣言を書いた本人が、すました顔で聞いてくる。

「いや……ただ……絵、上手いなと思って」俺は自分のカリカチュアを指差して言った。

「ああ、これ? ただの気まぐれよ。本人みたいに不細工でしょ?」彼女はペロッと舌を出して、俺をからかった。


(ああ、本人は不細工だけど、その下に「私のもの」って書いたのは君だよね?雪羅(セオラ)ちゃん?!)


 こんなやり取りが毎日続いた。韓国語で本心を隠す雪羅(セオラ)と、笑いを堪えながらとぼける俺。こんな奇妙な関係が卒業まで続くのだと思っていた。

 だが、運命は悪趣味なユーモアを持っていた。

 二学期の初め、隣の席は空席だった。雪羅(セオラ)が来ない。一週間、二週間……。そしてついに、家庭の急な事情で彼女が韓国へ帰国したという知らせを聞いた。

 彼女は、音もなく消えてしまった。


 ――雪羅(セオラ)視点


【一年後――韓国・ソウル】


 寒い。ソウルの冬は、日本よりもずっと過酷だ。私は、二年前の誕生日に**達也(タツヤ)**からもらった黒いマフラーをきつく締め直した。どこへ行くにも手放せない、たった一つの宝物。

 彼にさよならも言えないまま、日本を離れてから一年。あの時は祖母が危篤で、すぐに両親とソウルへ戻らなければならなかった。彼の連絡先も知らないまま。あんなに長い間幼馴染だったのに、いつも直接会うことに頼り切っていた自分が憎い。


「達也(タツヤ)くん……今頃、何してるかな」舞い落ちる雪を見つめながら、私は独り言を漏らした。


 私は今、明洞(ミョンドン)にある母のカフェでバイトをしている。外の気温はマイナス十度。客足は途絶え、店内は静まり返っていた。

 突然、カフェのドアが開いた。カランカランと、鈴の音が鋭く鳴り響く。

 어서 오세요!(いらっしゃいませ!)

 力のない声で、機械的に応対した。

「すみません……ここ、南(みなみ)さんのご家族のカフェで合っていますか?」


 私は凍りついた。その声……その日本語……

 顔を上げると、そこにはレジカウンターの前に、雪を少し被った厚手のジャケットを着た青年が立っていた。寒さで顔を赤くし、肩で息を切らしている。でも、その瞳は……あの時のままだった。

「た-達也(タツヤ)……くん?」


 ――秋崎達也(タツヤ)視点


 見つけた。ようやく。一年間バイトで金を貯め、日本に残っていた彼女の祖父に住所を教えてほしいと頼み込み、そして今、俺はここ、韓国のソウルに立っている。

「久しぶりだな、雪羅(セオラ)。もっと美人になったけど、残念ながら背は相変わらず低いままだな」


 心臓が飛び出しそうだったが、努めて場を和ませるように言った。

 雪羅(セオラ)はまだ固まったままだ。彼女の瞳に、じわりと涙が溜まり始める。


「どうして……どうしてここにいるの?」

「まあ、大事な用事があってさ。忘れ物を取りに来たんだ」

「忘れ物? また教科書?」彼女は泣き笑いのような表情で小さく笑った。


 俺は一歩前に踏み出し、彼女を真っ直ぐに見つめた。


「教科書じゃない。自分の気持ちを隠して、昔、教室で俺を豚呼ばわりした張本人だ」

 雪羅(セオラ)がハッとした。彼女の顔がみるみる赤くなっていく。「そ、それって……どういう……?」


 俺は大きく息を吸った。今だ。俺は彼女の顔に近づき、かつて彼女がよくやっていたように、耳元に顔を寄せた。

「내가 바보라며? 근데, 그 바보가 너를 보러 여기까지 왔어」

(俺がバカなんだろ? でも、そのバカがお前に会うためにここまで来たんだよ)


 雪羅(セオラ)は凍りついた。彼女は一歩後退し、驚愕と、絶叫したくなるほどの羞恥が入り混じった表情で俺を見た。


「あ、あんた……今……韓国語?」

「そうだよ。言っとくけどな雪羅(セオラ)、俺は『サランヘ』が魚の名前じゃないことぐらい知ってるんだぜ? あと、俺は『君のもの』なんだろ?」俺は満足げにニヤリと笑った。

「ぎゃああああああああああああああ!!!!」

 

 雪羅(セオラ)は絶叫しながら両手で顔を覆い、そのまま床にしゃがみ込んだ。予想通り、彼女は完全に「ノックアウト」されたらしい。


「達也(タツヤ)のバカぁぁぁぁぁ! この嘘つき! 最低! いつから?! いつからわかってたのよぉぉぉ!」手のひらの後ろから叫び声が響く。

「最初からだよ、雪羅(セオラ)。最初からだ」


 俺も彼女の前にしゃがみ込み、その顔を隠している手を優しく引き剥がした。幸せな涙で濡れた彼女の瞳を見つめる。


「せっかく俺がここまで来たんだから……。クラスメイトもいないことだし、もう一回、韓国語で何か言ってくれないか?」

 雪羅(セオラ)は小さくしゃくり上げた後、今まで見たこともないような、一番純粋な笑顔を見せた。彼女は俺のマフラーをぐいっと引っ張り、俺の顔を無理やり至近距離まで近づけた。

「바보... 정말 사랑해」

(バカ……本当に、愛してる。)

 俺は微笑んで、彼女の額に優しくキスをした。

「あぁ、知ってるよ。俺も愛してるよ、雪羅(セオラ)ちゃん」

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