第20話
新しいアジトでの生活が、一週間を過ぎた。
全員が、着実に力をつけていた。
結衣のレベルは、33に達した。
紫苑は、38。
明日香は、25。
「よし、今日は特別な訓練をする」
朝の集会で、山本が宣言した。
「ヒューゴ先生に、新しい魔法を教えてもらう」
「新しい魔法?」
結衣が聞いた。
「ああ。冴子を救出するには、並の力じゃ足りない」
山本は真剣な顔で言った。
「だから、禁術を学ぶ」
「禁術……?」
「そうだ。強力だが、危険な魔法だ」
山本はヒューゴを見た。
「先生、お願いします」
「承知した」
ヒューゴが立ち上がった。
「では、魔法使いたちは私についてきなさい」
結衣と、他の魔法使いメンバー五人が、ヒューゴについていった。
訓練場の奥。
人里離れた場所。
そこに、ヒューゴは全員を連れてきた。
「ここなら、誰にも見られない」
ヒューゴは杖を地面に突き立てた。
すると――
周囲に魔法陣が浮かび上がった。
「これは……結界?」
結衣が聞いた。
「そうだ。ここから出る魔力を、外に漏らさないための結界だ」
ヒューゴは全員を見回した。
「これから教える魔法は、禁術だ。使い方を誤れば、自分も周囲も破壊する」
全員が緊張した。
「だが、強大な力でもある。習得すれば、政府軍とも渡り合える」
ヒューゴは結衣を見た。
「結衣、君から始めよう」
「は、はい」
結衣は前に出た。
「君は、光魔法使いだな」
「はい」
「ならば、これを教えよう」
ヒューゴは空中に魔法陣を描いた。
複雑な文様。
見ているだけで、頭が痛くなるような。
「【天罰の光(ディヴァインレイ)】」
ヒューゴが唱えた。
瞬間――
空から、巨大な光の柱が降り注いだ。
地面が、焦げた。
直径十メートルの範囲が、完全に焼き尽くされた。
「す、すごい……!」
結衣は驚愕した。
「これが、光魔法の最高峰だ」
ヒューゴは結衣を見た。
「だが、代償も大きい。全MPを消費し、さらに寿命を一年削る」
「寿命を……!?」
「そうだ。命を代償にする魔法だ」
ヒューゴは真剣な顔で言った。
「それでも、学ぶか?」
結衣は迷った。
寿命を削る。
それは、あまりにも大きな代償だ。
でも――
「学びます」
結衣は覚悟を決めた。
「冴子さんを救うためなら」
「よろしい」
ヒューゴは微笑んだ。
「では、始めよう」
禁術の訓練は、過酷だった。
まず、魔力の制御を極限まで高める必要がある。
「集中しろ! 魔力を一点に集めるんだ!」
ヒューゴの指導の下、結衣は必死に魔力を集中させた。
額から、汗が流れる。
体が震える。
「もっとだ! まだ足りない!」
「くっ……!」
結衣は歯を食いしばった。
魔力を、さらに集中させる。
限界を超えて。
「うあああああっ!」
結衣の体から、眩い光が放たれた。
だが――
すぐに消えた。
「はあ、はあ……」
結衣は膝をついた。
『MP:10/350』
ほとんどの魔力を使い果たした。
「まだまだだ」
ヒューゴは厳しい顔で言った。
「今のでは、威力が十分の一も出ていない」
「十分の一……!?」
「そうだ。もっと集中しろ」
ヒューゴは結衣に手を置いた。
「君には才能がある。必ずできる」
「……はい」
結衣は立ち上がった。
もう一度、挑戦する。
何度でも。
習得するまで。
訓練は、夕方まで続いた。
結衣は、何度も何度も魔法を試した。
だが――
まだ、完全には習得できていない。
「今日は、ここまでだ」
ヒューゴが言った。
「休んで、明日また来なさい」
「はい……」
結衣はフラフラしながら、家に戻った。
家では、紫苑が待っていた。
「結衣! 大丈夫!?」
紫苑が駆け寄ってきた。
「う、うん……ちょっと疲れただけ……」
「嘘。すごく疲れてるじゃない」
紫苑は結衣をベッドに寝かせた。
「ちょっと待ってて。今、水持ってくるから」
紫苑は台所に行った。
結衣は天井を見つめた。
体が重い。
全身が筋肉痛だ。
「はい、水」
紫苑が戻ってきた。
結衣は受け取り、一気に飲み干した。
「ありがとう……」
「どういたしまして」
紫苑は結衣の隣に座った。
「今日、何してたの? すごく魔力消費してるみたいだけど」
「禁術の訓練……」
結衣は説明した。
天罰の光のこと。
寿命を削ること。
全てを。
「寿命を削る……!?」
紫苑は驚愕した。
「そんなの、ダメだよ!」
「でも、これがないと……冴子さんを救えない……」
「そんなこと言って! 結衣の命の方が大事でしょ!」
紫苑の目から、涙が溢れた。
「私、結衣を失いたくない……」
「紫苑……」
結衣は紫苑を抱きしめた。
「大丈夫。一年くらい、平気だよ」
「一年でも嫌だ」
「でも……」
「ねえ、結衣」
紫苑は結衣の目を見た。
「その魔法、本当に使わないとダメ?」
「……わからない」
結衣は正直に答えた。
「でも、いざという時の切り札として、習得しておきたい」
「……わかった」
紫苑は涙を拭った。
「でも、絶対に無茶しないで」
「うん、約束する」
二人は抱き合った。
しばらくして、明日香が帰ってきた。
「ただいまー! って、二人とも何してるの?」
「あ、明日香……」
結衣と紫苑は慌てて離れた。
「いや、別に……」
「怪しい……」
明日香はニヤニヤ笑った。
「まあいいけど。それより、晩ご飯作ろうよ。お腹空いた」
「そうだね」
三人は台所に立った。
今夜のメニューは、鍋。
野菜と肉を煮込んだ、シンプルな料理。
でも、三人で作ると楽しかった。
「明日香、それ切りすぎ!」
「え、これくらいでいいじゃん!」
「ダメだよ、食べにくくなる!」
笑い合いながら、料理をする。
こんな何気ない時間が――
一番幸せだった。
夕食後。
明日香は、重傷者の看病に行った。
結衣と紫苑は、二人きりになった。
「お風呂、入ろうか」
紫苑が提案した。
「うん」
二人は、アジトの共同浴場に行った。
といっても、川の水を引いた簡素なものだ。
だが、温かいお湯が出る。
それだけで、十分だった。
「ふう……気持ちいい……」
結衣は湯船に浸かった。
疲れが、溶けていく。
「結衣、背中流してあげる」
「ありがとう」
紫苑が結衣の背中を流してくれた。
優しいタッチ。
「気持ちいい……?」
「うん、すごく」
「良かった」
紫苑は丁寧に、結衣の背中を洗った。
そして――
前に回ってきた。
「前も、洗ってあげる」
「え、自分でできるけど……」
「いいから」
紫苑は結衣の胸を洗い始めた。
「んっ……」
結衣の体が震えた。
敏感なところに触れられている。
「紫苑……」
「ん? どうしたの?」
紫苑は知っていて、とぼけている。
「そんなに触ったら……変な気分になる……」
「変な気分? どんな?」
紫苑の指が、結衣の乳首を転がした。
「ひゃあっ!」
結衣の声が響いた。
「可愛い声」
紫苑は笑った。
「もっと、聞きたいな」
「ダ、ダメだよ……ここ、お風呂だから……誰か来るかも……」
「大丈夫。今、誰も来ない」
紫苑の手が、さらに下に降りていった。
結衣の最も敏感な場所に触れる。
「あっ……!」
「ここが好きなんでしょ?」
「う、うん……」
結衣は素直に認めた。
紫苑の指が、結衣の中に入った。
「んっ、あぁ……」
結衣の声が、浴場に響く。
お湯の音と混ざって。
「もっと、感じて」
紫苑の指が、巧みに動く。
結衣の体が、徐々に高まっていく。
「紫苑、もう……ダメ……」
「いいよ、イって」
「あっ、ああああっ!」
結衣の体が痙攣した。
絶頂に達した。
「はあ、はあ……」
結衣は荒い息をついた。
「お風呂で、こんなこと……恥ずかしい……」
「でも、気持ち良かったでしょ?」
「……うん」
結衣は顔を赤くした。
「じゃあ、今度は私の番」
「え?」
「結衣にも、してほしい」
紫苑は結衣の手を取った。
「お願い」
「……わかった」
結衣は紫苑の体を洗い始めた。
背中。
お腹。
胸。
丁寧に。
そして――
紫苑の最も敏感な場所に触れた。
「んっ……」
紫苑の声が漏れた。
「気持ちいい?」
「うん……すごく……」
結衣の指が、紫苑の中に入った。
「あああっ!」
紫苑の声が響く。
「もっと、動かして……」
「こう?」
「そう、それ……!」
結衣は動かし続けた。
紫苑の表情を見ながら。
「もう、イきそう……」
「いいよ、イって」
「あっ、ああああっ!」
紫苑の体が激しく震えた。
絶頂に達した。
「はあ、はあ……結衣……最高だった……」
「紫苑も」
二人は抱き合った。
お湯の中で。
温もりを分かち合った。
「愛してる、結衣」
「私も、愛してる、紫苑」
二人は深くキスを交わした。
そして――
しばらくお風呂でくつろいだ後、家に戻った。
その夜。
結衣は一人、ベッドで考え込んでいた。
明日香は、まだ戻っていない。
紫苑は、シャワーを浴びている。
「禁術……」
結衣は呟いた。
本当に、使うべきなのか。
寿命を削ってまで。
でも――
冴子を救うためには、必要かもしれない。
「難しい……」
結衣は頭を抱えた。
「結衣」
紫苑が部屋に入ってきた。
「まだ起きてたんだ」
「うん……眠れなくて」
「また、禁術のこと考えてる?」
「……うん」
紫苑はベッドに座った。
「ねえ、結衣」
「ん?」
「もし、禁術を使わなきゃいけない時が来たら……」
紫苑は結衣の目を見た。
「私に言って」
「え?」
「私が、代わりに戦う」
紫苑は真剣な顔で言った。
「結衣の命を削らせたくない」
「でも、紫苑だって……」
「私は、堕天者だから」
紫苑は自嘲気味に笑った。
「元々、長生きできない体なの」
「何、それ……」
結衣は驚いた。
「堕天者は、普通の人間より寿命が短い」
紫苑は天井を見上げた。
「だいたい、四十歳くらいまでしか生きられない」
「そんな……」
「だから、私の命を使う方がいい」
「ダメだよ!」
結衣は叫んだ。
「紫苑の命だって、大切なんだから!」
「でも……」
「紫苑には、長生きしてほしい」
結衣は涙を流した。
「私と一緒に、南の島で暮らすんでしょ?」
「……うん」
「だから、死なないで」
結衣は紫苑を抱きしめた。
「お願い……」
「……わかった」
紫苑も涙を流した。
「死なない。約束する」
「うん」
二人は抱き合ったまま、しばらく泣いた。
お互いの存在を確かめ合った。
やがて、涙が止まった。
「結衣」
「ん?」
「今夜、一緒に寝てもいい?」
「もちろん」
二人はベッドに横になった。
抱き合ったまま。
「おやすみ、結衣」
「おやすみ、紫苑」
二人は目を閉じた。
そして――
幸せな夢を見ながら、眠りに落ちた。
明日も、訓練が待っている。
冴子の救出作戦も、近づいている。
でも――
今は、この瞬間を大切にしよう。
二人は、そう思いながら眠った。
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