壱羽 ・ クリスマス
どうも、壱羽です。
今日はクリスマスというキリスト教をお祝いする日
のお話ですよ。
然し今日は本番のお話ではありません。
クリスマスはクリスマスでもイブのお話です。
あれは私が7歳で姉の弐採が9歳だった頃のお話
です。その日は丁度小学校がお休みで姉の弐採に
連れられて私は慌ただしい喧騒の街へと手を引かれ
ました。半ば寒いから嫌だと思っていた外でも
出てみればこれまた良いものだと思いました。
ですが寒いものは寒くずっと弐採に手を引かれて
歩くのは耐えられませんでした。
だって雪が降ってるんだもの。
「お姉ちゃん、どこ行くの?寒いし早く帰りたい」
「これくらいで根をあげてどうするの?子供は
風の子ってママは言ってたしもう少し頑張って!
それに見せたいものがあるんだから…!」
そう言って私に何を見せたいのか言わずにただ
黙々と歩く弐採に多少の不満を抱えムッとしたけど
特に用事もない私は言い訳をせずにただ着いて
行きました。
少し喧騒から離れた深いとも浅いとも言えない
森の奥に小高い丘がありました。
そこは、当時の私たちからしたら凄く不思議で
凄く新鮮な場所とも思えました。
「わぁ…見て見てお姉ちゃん!ここ綺麗だね!
街の遠くまで見渡せるよ!」
「そうでしょ!私これを見せたくてずっと
ウズウズしてたんだから!よかった…壱羽が
喜んでくれてとても嬉しい!」
そう言い合い、笑い合う暫く私たちはその丘で
安らぎの一時を味わっていました。
夕暮れ時になると一層その新鮮さは増して行く
ばかりで、景色に見蕩れていると
弐採に声をかけられました。
「壱羽、もう日が暮れちゃうし帰らないと。」
名残惜しいし、もう少しここに居たいけれど
確かに日が暮れる前には帰りなさいと母には
言われていた為帰らないといけません。
「そうだね、」
「また連れてきてあげるよ。家からそう遠くないしまた私がアンタを連れてきてあげる。」
名残惜しそうにしている私を察してか、それとも
ただの気まぐれか、姉は何時ものように手を繋ぐと
私に目線を下ろしてそう言ってくれました。
それからは毎年姉と、クリスマス イブにはその
小高い丘で談笑するのが日課となりました。
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3日ごと 18:00 予定は変更される可能性があります
一家-にのまえけ 宮田 @miya_o3
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