きいろ

巨尻をこちらに向け、思いっきり

ぶっーーーーーー

有毒なガス爆弾を眠気まなこの私にぶっ放す。

臭い、目に染みる。

ばたんと音をたてて倒れる。

倒れた娘の姿を見て、満足そうな顔でその場を去る。

母はおならが好き。

四六時中おならの動画を貪り、漁ってる。

気に入った動画は

家族ラインにも、私のラインにも送りつけてくる。

いらねえよ。毎日、毎日！

受信するだけでギガがかかるんだ！

「ねえ、YouTube、おならの動画しか出てこなくなったんだけど」

母は半ギレで言う。

「そんな動画ばっかり見てるからでしょ！そのうちおならで話し始めるかもね」なんて軽口を叩く。母はニヤリと不気味な笑みを浮かべる。

その日は突然やってきた。

今まで普通に話していたのに、おならで会話するようになった。

その理由も、自分の意思で変えたのかそうでないのかなんて、定かでない。はっきりさせたいとも思えない。

最初はキレた。どうして返事してくれないの？ふざけるな！！って

ぷーーー

今にも消えそうな小さくながーいおなら

それすらもおなら？

正直呆れた。でもね、なんだか笑いが込み上げ、ぷっすーーーっと肩の力が抜けたよう。

今日ご飯ハンバーグ？

ぷー、ぷー

違うらしい。

オムライス？

ぷー、ぷー

カレーライス！

ぷーーーーーーーー

正解らしい。

また今日もおならがたくさん出るメニューにして。

そんなに頻繁におならを放出して母はガス欠にはならないだろうか？

心配になってしまう自分が嫌だ。

そろそろ音程がつく頃かもしれん。

我が家の空気はいつもきいろ

世の中には口から生まれた人っていう比喩があるけど

きっと母は、おならから生まれてきたのだ。

比喩のレベルではない、私は確信している。

そして誰がどう見ても私と母は親子だ。

なぜかって？

私はおなら占い師だからね。