赤と秒針
因幡
第1話
日曜日、もう夕暮れも近い時間
突然インターホンがなった
モニターで確認すると見覚えのある姿
もうあれから2年は経っているだろうか、印象的な腰まで届くスーパーロングの黒髪は健在ですぐに彼女だとわかった
2年前、僕がスクールカウンセラーとして務めていた学校の生徒だ
『君…』
どうして僕の家を…言いかけた途端彼女が言う
「先生、開けてください。お話聞いて欲しくて…」
静かな話し方もあの頃のままだ
きっと何かあったんだ
『久しぶりだね…どうぞ入って突然で驚いたよ』
できる限り穏やかな笑顔を造り彼女を招き入れた
「先生、開けてくれてうれしい…お話、聞いてくれなかったら どうしようって思ってたんです」
静かに微笑む
「わたしのこと、覚えててくれてたんですね。…もう、忘れちゃってるのかと思いました」
『はは…忘れるわけないだろう?』
彼女の目線に、ドキリとしながら部屋に案内する
『さ、座って…』
振り返るとすぐ近くに彼女
『…!』
1歩、また1歩と
ゆっくりと確実に近付いて来る彼女に後ずさる
足がソファの縁にあたり、膝が折れる
そのままソファに腰を落としてしまう
『ちょっと…待って…ゆっくり話、聞くからさ』
なるべく穏やかな表情を作る
でも頬が引き攣るのをやめられなかった
『いつもみたいに…』
なんとか笑ってみせ彼女をなだめようとする
「いつも…みたいに?」
彼女が静かに口を開く
「もう、2年ですよ?先生…わたしのこと探してもくれなかったじゃないですか…」
彼女は覆い被さってくる
『あ…』
言葉が詰まる
「わたし、先生にはなんだってお話したんですよ。先生にだけ…なんでも打ち明けました。わたしの唯一の理解者は…先生だけ、だったんですよ?」
「それなのに、心配、してくれなかったんですか?」
彼女の両手が 僕の頬を捕らえる
『し、心配はしてたさ…でも僕の立場で個人的に連絡するのは…』
唇と唇が触れそうな距離
「わたし、ずっと待ってたんですよ…」
彼女の息がかかる
彼女の手が頬を撫でる
つぷ ___
不意に彼女の
ひんやりとした人差し指の指先が口角から侵入した
『…っ!!』
「せんせ…わたしを拒絶したり、しませんよね…?」
こんなのは絶対いけない
そう思いながらも緊張や恐怖が入り混じった感情で動けなかった
ひんやりとした指先をさらに侵入させていく
「先生なら、わたしを拒絶しないって…信じてました」
「拒絶されたら…どうにかなっちゃうかも」
彼女がクスリと笑う
指を喉奥まで差し込まれ反射的にえづく
『ぐ...ッ!!』
咄嗟に彼女の腕を掴む
うっすら微笑む彼女の瞳と目が合う
金縛りのように身体が硬直する
掴んだ手から力が抜け落ちる
「ふふ..」
彼女はゆっくり中指も侵入させ
喉奥で掻き回す
ぐちゅ、ぐちゅ......と音がなる
『んぐ......うう゛.....!!』
喉が痙攣する
唾液が溢れ、唇の端から滴る
『(苦しい......)』
『(でも、動けない.....)』
「せんせ.....お利口さん......ですね♡」
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赤と秒針 因幡 @rnqi
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