俯瞰

交尾、毛繕い、喧嘩、採食行動、順位階層。

高い高い山のてっぺんにいる猿もいれば

こちらからは見えないくらい下に潜んでいる猿もいる。

誰かといるやつ、ひとりでいるやつ。

面白い。

面白いっていうのは興味深いっていう意味で。

管理下の猿たち。

管理下だなんて知るはずもない。

醜い猿たち。

でも

ふと思ったの

人間も管理下なんじゃないかって

気づいていないだけで

人間もみえない檻の中かもしれんって

ちゃっちいことで

一喜一憂、悩み苦しみ泣いているのも

誰かの手の内かもしれない。

あの温もりでさえも。

ーーだったらもっと自由に生きればいい。

生きにくくしているのは

案外自分が望んでるから、

だったりして。

結局みんなみんな、

あなたも誰かの

餌食でしかない。

それでもよぎる

今の「私」を俯瞰している「私」がいて、

その「私」も

他の「私」が観ている、

注意深く。

そう、

いわばマトリョーシカみたいにね。

それに気づいた瞬間

景色が一変した。

目の前が歪み始める、万華鏡みたい

凍りきった手で

無遠慮に心臓を鷲掴みされている。

息苦しい。

湧き出てくる感情が私を襲い

とめどなく涙が溢れでてくる。

なーんて

あるわけない！って思いながら。

管理下だなんて知るはずもない。

醜いヒトたちへ。

あなたは本当にあなたですか？