魔女はいつも気まぐれなアフタヌーンティーを満喫する
花乃 牡丹
Ⅰ. 前編
ある日の正午、奇抜なブラックの
傍らには巨大な鍋のようなものが置かれ、その中では何やら黄緑色をした奇妙な液体のようなものが茹だっている。
彼女は客が来ないからと自身が経営する土産物店を閉店し、営業時間内であるにもかかわらず新商品の開発に没頭していた。
気まぐれな性格ゆえ、このようなことは日常茶飯事といっても過言ではないほど頻繁なのだ。
「ねぇジェーン、まだやってるの?」
すると、彼女の背後を浮遊していた体長約十五センチ程のまるで黒猫のような出で立ちの生き物が女性改めジェーンに話しかける。
「今終わったところだよ」
「今日は夕方からミーティングだよ。そろそろ用意をしておいたほうが良くない?」
「あぁ、そうだねダリア……」
ジェーンは長時間作業に集中していたためか、自身の褐色の肌に少し滲んだ汗を左手で拭い、ダリアと呼ばれたその生き物と共にブラックのロングスカートの裾を引き摺りながら階段を駆け下り、ゲストルームへと向かう。
そして部屋の前で立ち止まり、自身の少し乱れたロイヤルパープルのロングヘアを左手でさっと払い、右手の人差し指を立てそれを軽く振り下ろす。
すると、部屋全体がピカピカと煌めく光の塊に包まれ、数秒後それが消滅し、散らかり放題だった部屋は綺麗に片付いていた。
「ついでに少し休憩でもしよう」
そう言って、ジェーンは再び先程と同じ仕草をする。
すると、何も置かれていなかったテーブルの上には、木製のトレイの上に甘い香りを発するローズピンクの液体が入ったニ客のティーカップと、さらにその横に並べられたソーサーには、とてもカラフルでゴージャスな装飾が施されたカップケーキによく似たお菓子とクッキーのようなお菓子が三枚添えられている。
「美味しそうだろう?」
「さすが!」
そんなことを話しながら一人と一匹が休憩時間を満喫しようとしていると、店先に設置されたチャイムが鳴る。
「もうそんな時間だったかな?」
そう言ってジェーンは早足にゲストルームを後にした。
左手の開き戸を少し開き、店の奥から外を覗く。
すると店舗正面にあるガラス張りの扉の向こう側には、なんとも不思議な光景が広がっていた。
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