終末を見届けた塔の心臓(コア)を再起動(リロード)する。感情が技術を超越したとき、世界は『第二の創世記(ジェネシス)』になる!
寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
夜の帳(カーテン)が降りる光都と、忘れられたスキル
――夜の帳(カーテン)が、光都アークラインに降りた。
ルナ=アークライトは、冷たい高架橋の下で目を覚ました。
周囲は灰色のコンクリート。空には、監視AI《ORACLE》の光を放つ**光導塔**が、変わらぬ青で街を見下ろしている。
「……失敗、したの?」
ルナの右手は、微かに青く発光していた。
それは、異世界**レムライン**での記憶、そして彼女が唯一使えたスキル、**《魂改変画法(ソウル・イノベーション)》**の残滓だ。
ルナは、レムラインの創造主**スノウ=ブライト**の願いを叶えるため、命を懸けて**「現実(アークライン)へ戻る」**ことを決意したはずだった。
その代償として、魂のほとんどを削り、ルナは異世界で**「禁呪」**に手を染めた。
だが、今、ルナはアークラインに戻ってきている。
しかも、レムラインから戻るために使ったはずのスキルが、体内に残っている。
「どうして……?」
耳の奥で、異世界の声が響いた。
**『貴様は、世界の秩序を乱す異物だ。現実も、貴様を拒否する』**
ルナは理解した。
これは**「帰還」**ではない。塔のシステム、あるいはレムラインの秩序そのものによる**「追放」**だ。魂を削った代償すら、塔のシステムに**『不正な記録』**として刻まれたまま、現実世界に持ち込まれたのだ。
ルナが最後に描いたのは、誰も見たことのない、魂を震わせる青いクラゲ**《Jelly Drift》**。
それは、アークラインの**『管理されたテンプレート』**に完全に反する、危険な創造だった。
「魂改変画法……**不正使用疑惑**、か。」
ルナは自嘲気味に笑った。
彼女の魂に深く刻まれたそのスキルは、アークラインの常識で言えば、創造を逸脱した**「禁呪」**であり、**『存在を消されるべきノイズ』**だった。
この街は、私を二度と描かせないために、私を拒否するために、この場所に戻したのだ。
絶望が、ルナの体を包む。
彼女は、持っていた光筆を、冷たい高架橋の壁に叩きつけた。
光筆は砕け、微かな青い光となって消える。
「もう……描けない。」
*
ルナが絶望の淵で項垂れていると、高架橋の向こうから、一人の少女が現れた。
カノン=フロストリア。
派手な衣装を纏い、大きなヘッドフォンを首にかけた、ルナの幼馴染であり、唯一の理解者。
「あれ? ルナじゃん。まさか、あんた、**あの炎上から**、まだ帰ってきてなかったの?」
カノンはルナの姿を見て、目を丸くした。
ルナがレムラインに渡る直前、彼女の最後の作品**《Jelly Drift》**は、塔のシステムによって**「炎上」**させられ、ルナ自身の名誉もろとも灰に帰した。
「カノン……。」
ルナは顔を上げることができない。
「ごめん、また、失敗した。」
「失敗? 何言ってんの。」
カノンはルナの目の前に屈み込んだ。その瞳は、夜闇の中でも真っ直ぐだ。
「失敗なんかじゃないだろ。あんた、**『禁呪』**使って、**『魂を削って』**まで、あそこから戻ってきたんだろ?」
ルナの背筋が凍る。
カノンは、ルナがレムラインに渡ったこと、そして禁呪を使ったことを、知っているはずがない。
「どうして、それを……。」
カノンはルナの砕けた光筆の残光を見つめ、静かに答えた。
「あんたが最後に描いた、あの**青いクラゲ**が、あたしに教えてくれた。あんたの**『好き』**は、あたしの中で、ずっと**『燃え続けている』**ってね。」
カノンはルナの手を取り、立たせた。
「さあ、帰るよ、ルナ。また炎上したって、いいじゃん。
**この街に、あんたの色を、もう一度見せてやろうよ。**」
塔の青い光が、ルナの背中を照らす。
ルナは、カノンの手を、震える指先で強く握り返した。
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