転移したら「テイマー」になり天下を取る!〜TTT〜
鷲宮 乃乃@X始めました
静と動のプロローグ
〜桐川神子〜
「おっはよ〜!...およ、元気ないね?」
「...天ちゃん風邪引いたから休むって」
「ありゃりゃ、そりゃあ大変だ。お大事にって言っておいて」
何度目かわからないため息を吐く私は桐川神子。
心配そうに話しかけてきた彼女は兵頭麻耶、私のクラスメイトであり友達でもある。
「神子は天堂さんのこと相変わらず好きだね〜」
「天ちゃんの良いところ十個言えって言われたら無限に出てくるよ?」
「重っ...!!」
そうかな?天ちゃんはいつも「神子は軽いな」って笑いかけてくれるんだけど...
私は重い女なのか、今度しっかりと聞いてみようと心の中で決意するともう一人私の元へとやってきた人がいた。
「あら、天華さんはお休みなの?」
「...風邪ひいたみたいで」
「そう、ならお見舞いにでも行こうかしら」
「私がひとりでいくから大丈夫だよ〜」
あなたみたいな下心見え見えの人を天ちゃんに合わせる訳ないでしょ!!
「束縛するような重い女は嫌われるわよ?」
「え〜、重くないし束縛もしてないよー?」
両者睨み合いが続き、舌打ちが出てしまった。
「「...チッ!」」
「み、みんなで行こう!!ね!!みんなで!!」
何を隠そう、私はこの委員長である柳原莉央が苦手である。
...全く、天ちゃんの優しさに簡単に落とされただけの雌猫がここいらで躾してあげましょうか?
自分はそんじょそこらの素人とは違う、小さい頃からずっと一緒の『幼馴染』という最強ポジにいるの、だから私こそが勝者なのよ。
「みんな席について、朝のHR始めるわよ」
この雌猫を泣かせてやろうとしたが、松風先生が来てしまったため大人しく鞘を納める。
先生が出席を取る中、天ちゃんのお見舞いには大好きなりんごを買っていってあげよう、そう決めた矢先、クラスを包むほどの光が反射して目を開いた時にはそこには髭面のおじさん達が沢山いたのだった。
・・・
・・
・
〜天堂天華視点〜
「ゴホッゴホッ...あー、しくった」
まだ視界がグラつくし、足取りもおぼつかない。
リビングに降りてくるんじゃなかった。
「ヤバい、動けない...」
ソファへと寝転ぶ、幸いにも毛布にくるまっていたため毛布を取りに戻るという労力を厭わないのはラッキーだった。
寝転がって体を休ませているとお腹がくぅ、と鳴く。
「風邪を引いていても腹は減る...か」
まだ冷凍のうどんがあっただろうか。
せっかく寝たのにすぐさま起き上がることになってしまったが腹を満たさねばならない。
「...残りは4玉か、いけるか?今のわたしの体調で」
うどんは好きだ、香川県民が驚くぐらいに好きなのだ。
わたしは悩む、自分の天使と悪魔が殴り合いをするぐらいには...
《食べろ!食べれば腹も満たされ眠くなるぞ!》
《ダメよ!沢山食べたら、気持ち悪くなって悪化しちゃうわ!!》
《黙れ、気弱な天使め!さあ食べろ!ついでに油揚げに蒲鉾、わかめも入れてしっかりと食べろ!!腹を満たして寝れば体調などすぐに良くなるぞい!》
《食べすぎだけはダメ!ついでにご飯もあるからっておにぎりにして食べるなんてダメよ!》
おにぎりか...それもアリだな。元々、天使などいなかったのだ。
ありがとう、心の中の悪魔と悪魔よ。わたしは邪道という王道を取るぞ。
お湯を沸かして4分間茹でている間に、残っているご飯をおにぎりにしてついでにウインナーも取り出し、うどんを丼に入れて悪魔達の囁かれしものをトッピング。
「うん、美味しそうだ」
名付けるなら悪魔うどん、と言ったところだ。
自分のネーミングセンスに感服していると、お腹が早くよこせと叫ぶかのように鳴いた。
まあ、待て。腹の虫よ、腹は減っているがいただきますを忘れてはいけない。そうだろう?
「いただきます」
...美味かった、また食べたいぐらいには美味かった。
「なんだか、風邪が治った気がする」
なんだ、この湧き上がる闘志は。今のわたしならなんでもできる気がする。
そう思っていた数分前の自分をぶん殴りたい。
「はあ...はあ...悪化した...」
わたしは負けたのだ、自分の欲に。
満腹になった体を休ませるべく、さっきまでなんでもできると息巻いていた内に自分の部屋へと戻ってきていて正解だった。
「...しばらく寝よう」
目が覚めたら元気になっているようにと願い、そっと目を閉じた。
けれど、目を覚ました時にはわたしは真っ白の空間にいて女神と名乗る謎の不審者に膝枕されていて...まあそこからは色々あって大冒険が始まるのだが、それはまた別のお話。
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