よかつた 🎄

上月くるを

よかつた 🎄



霜枯に淡き色さす朝日かな

利かん気の犬の口許一文字


クリスマスローズの白を愛しめり

冬すみれ掘り出し物のひとなれば


冬霧を何かが走り抜けてゆく

手のひらの器で受ける冬の水


見捨てられ拾はるる貝波の華

くだら野に口尖らせば鳥の口


他愛なく枯猫じやらし靡きけり

あをぞらに枯れ白樺の枝ましろ


手のうへの鷹に追はせる冬の鵙

冬ともしパソコンを置く文机に


プロフィルは一行でよし寒晒

こころざし高く物また寒の雨


春近し辛抱だけの半生に

麦の芽や諸般事情好転す


よその星にだう見られゐる枯木星

セロリ食み十五年目のテレビ観る


耳袋「そげだそげだ」と手を打てり

冬北斗「ああよかつた」と声に出て




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