魂の棘

紫陽

第1話

「いかなる種類の魔法の使用も死刑に処される」


それが、この国を支配していた法律であった。


それははるか昔に制定されたもので、人間を平等にし、魔法の使用が一般的であった時代に起こったいくつかの悲劇を避けるためであった。


ナルトゥームはこれらの地の首都である。多くの住民が暮らす大都市だ。その建築様式はゴシックおよびヴィクトリア調である。近代性と中世が混在している。ブルジョワジーと貧困。


その時、濃い青色の空が街を覆っている。小雨が降っている。夜が近づいていた。


この憂鬱な都市の風景の中、長い外套をまとった二人の男が、天候にもかかわらず多少の賑わいを見せる商店街を歩いていた。


「また新たな魔法使用の事例だ!容疑者は警察によって処刑された!」


そう叫びながら人混みの中を歩いていたのは若い男で、片手に新聞を振り、もう片方の手には傘を持っていた。


「ナルトゥームで何が起きているのか?それを知りたければ、我々の新聞を買え!」


外套の男たちは、彼が新聞を差し出したときも無視して通り過ぎた。


「チッ。妙だな。ここ数日、そればかり聞く。魔法を使った人間が次々に捕まり、当局に殺されている」


そう話し始めた男は平凡な外見で、中年、短い髪にややむくんだ顔をしていた。


「流行の影響だろう」


隣にいた男がそう答えた。彼は少し年上だった。頬はこけ、乱れた髪は白髪交じりで、口ひげも同様だった。


「なら、馬鹿げた流行だな。処刑されかねないことをやる何が面白いんだ?どうして人々は大人しくして法律に従えないんだ、なあ、アナトリー?」


「人間の好奇心は尽きないものだ」


「はあ。そんな哲学者気取りはやめろよ、酔っぱらいさん」


「お前も知ってるだろ、酒をやめようとしているんだ」


「知ってるさ。その娘と手紙をやり取りし始めてからな」


「その通りだ。今夜の彼女との待ち合わせに、俺は十分に見られると思うか?」


「もちろんだ!それより、彼女が送ってきたその写真をもう一度見せてくれ」


アナトリーは外套のポケットから封筒を取り出し、中を探った。やがて、白黒の写真を一枚取り出し、友人に差し出した。


「うわあ。運がいいな!」


写真には若い少女の肖像が写っていた。顔立ちは繊細だった。若く美しい顔。優しい眼差し。唇には控えめで素朴な微笑み。控えめな化粧。頭と髪の一部を覆う大きなスカーフを身に着けていた。写真では顔だけが見えていた。


「本当に二十代なのか?すごく若く見える」


「なぜ彼女が俺に嘘をつく必要がある?」


「まあ、どうでもいいか。写真じゃ分からないことも多い。今夜は、もっと見られるといいな、はは」


「ともかく、俺はここで失礼する。彼女が書いてくれたバーの住所はもうすぐだ。お前と一緒にいるところを見られたくない!」


「はいはい!楽しんでこい、アナトリー!」


友人は彼の肩を叩き、去っていった。アナトリーはさらに数分歩き、商店街から離れていった。人影のない場所に着き、そして路地へと入り込んだ。


「バーはもう近い。彼女に会えるはずだ。ああ、愛しいスタシア」


しばらく歩いた後、路地の突き当たりに着いたが、そこにバーはなかった。目の前には壁があった。


「うーん……スタシア……何を考えているんだ?うーん……」


背後で足音が響いた。彼はすぐに振り向いた。


そこにいたのはスタシア……あるいは、彼女と同じ顔をした人物だった。ただし、化粧はしていなかった。若く、美しく、繊細な顔立ち。明るい茶色のミディアムヘア。細く絹のような髪が、小雨に濡れながら顔にかかっていた。瞳は鮮やかな赤色。写真とは違い、その視線は優しくなく、鋭かった。


「スタシア……君なのか?その服装……そんな格好をしているとは思わなかった」


実際、その人物は膝まで届く長い黒のチュニックを着ており、赤い幾何学模様の刺繍が施されていた。白いスカーフが首を覆い、背中に垂れていた。チュニックと同じ色合いのズボンに、同様に暗い色の細身のブーツ。腰には白いベルトがあり、スカーフの色調と合っていた。


「アナトリー、でいいのかな?」


その声は柔らかかったが、若い男のものだった。


「え……お……お……はい」


「スタシアは最初から存在しなかった」


「な……な……何だって?」


「君が私に書いた手紙の中で、君は秘密裏に魔法を使っていることを明かすという過ちを犯した」


「ど……どうして?待って……全部罠だったのか?」


「申し訳ない、アナトリー。魔法を使う者に何が起きるか、君も知っているだろう。すぐに終わらせる」


若い男はアナトリーに近づいた。


「待て!説明してくれ!真実を知る権利がある!」


彼は一瞬立ち止まった。その氷のような表情から、かすかな同情が漏れた。そして答えた。


「君は長い間、魔法使用の疑いをかけられていた。私はそれを調査し、事実なら君を始末するために雇われた。やり方については謝る。だが、どうやら効果的だったようだ。」


「お……お前……ずっと俺を操っていたのか……心がない」


若い男はその言葉に眉をひそめた。視線は再び鋭さを増し、同情は消え去った。終わらせる時だ。彼は捕食者のように、しかし警戒を保ちながら再び歩み寄った。標的は依然として魔法の使用者だ。


「俺が大人しくやられると思うか?!」


アナトリーはどもるのをやめ、全身全霊で叫んだ。額には汗がにじみ、体は震え、目は潤んでいた。それでも最後まで戦う決意を示した。彼は外套の中に手を突っ込み、すぐにスキットルを取り出した。しっかりと握りしめ、裏切った相手を睨みつけた。


スキットルを取り出すのを見て、若い男はぴたりと動きを止めた。赤い瞳が注意深く彼を見つめていた。


アナトリーは勢いよくスキットルを開け、その中身を顔と服に浴びせた。それはアルコールだった。


「酒はやめたと思っていたが」


「黙れ、クズ!」


アナトリーはその後、聞き取れない言葉を呟いた。すると、肌と服に付いたアルコールが燃え上がった。灰色がかった、淡い炎。それは瞬時に老いた男を貪り始めた。


若い男はその光景を一瞬たりとも見逃さなかった。恐怖の影は微塵もなく、ただ捕食者の眼差しで観察していた。


「これが、君が魔法で学んだことか、アナトリー」


淡い炎はあまりにも激しく、もはやアナトリーの体は見えなかった。彼は人間の火柱となっていた。それでも苦しんでいる様子はない。むしろ、その逆だった。


「さあ、今すぐ来い!どうやって俺を殺すつもりか見せてみろ!」


その言葉の後、炎の男は若い男に飛びかかった。燃え盛る腕で大振りの一撃を次々と放つ。若い男はそれらの粗雑な攻撃を軽やかにかわしていった。その余裕と回避の容易さは、相手を嘲笑っているかのようだった。跳び、屈み、回転し、後退する。灼熱の炎がかすめても、一本たりとも触れなかった。


―くそ!


激怒したアナトリーは獣のように突進した。相手を抱きしめ、体ごと炭化させるつもりだった。それを若い男は見抜いており、横に身を翻しただけだった。炎の男は空振りし、水たまりに滑って倒れた。地面で怒りに沸き立ち、炎はさらに大きくなった。


若い男はその背後に立ち、無表情で見つめていた。


「どうした?!どうやって俺を殺すつもりだ?武器も持っていないじゃないか!」


確かに、若い男の装備には武器らしきものは見当たらなかった。


「素手で絞め殺してみろよ、ついでにな!」


その直後、アナトリーは再びスキットルを取り、残りを飲み干した。そして吐き出した。顔代わりの炎から、巨大な灰色の火炎が噴き出した。それは隕石のように若い男へと突進し、射程内で爆発した。炎は路地一帯に広がり、雨にわずかに抑えられただけだった。


アナトリーは立ち上がり、若い男の焼け焦げた体を探した。しかし、何も見えなかった。


「もう十分だ」


若い男の声が空に響いた。


「何だと?!」


仰天したアナトリーは、街灯の上を見上げた。そこに、若い男がしゃがんでいた。


反応する間もなく、若い男は腕を彼の方へ伸ばした。その時、予想外のことが起こった。


白い茨が、彼の腕の袖口から現れた。衣服の中から這い出る様は、生きているかのようだった。それは突然、下方へと伸び、獲物に跳びかかる蛇のようにアナトリーへ向かった。白い茨は凄まじい速さで彼の足に巻き付き、強く引き寄せた。アナトリーは後ろに倒され、炎の頭が地面に叩きつけられた。


茨は脚にきつく巻き付き、棘が深く食い込んだ。炎をものともせず、生身の肉に突き立った。


「ま……魔法だと?!」


アナトリーがそう口にするのが精一杯だった。茨は彼を地面に引きずり、宙へ持ち上げた。街灯の上にいる若い男のもとへと運ぶ。彼は手を動かして軌道を操っていた。


アナトリーは逆さまに吊られていた。頭を打った衝撃でひどく混乱し、ほとんど力が残っていなかった。もはや抵抗できない。ただ、話すことだけができた。


「お……クズ……お前も魔法を使っている……」


若い男は黙ったまま、アナトリーの体を包む灰色の炎を観察していた。


「魔法を使っているのに……他の使い手を殺すのか?お前は何者だ、くそ……俺と何が違う?なぜお前だけが、魔法を使ったという理由で俺を殺す権利がある?!」


その言葉とともに、彼の顔の炎はさらに激しさを増し、若い男に届きそうになったが、触れることはなかった。しばらくの沈黙の後、彼は落ち着いた口調で答えた。


「私が誰か?名はフェンストラ」


そして、少し考えるように間を置いてから、続けた。


「何が違うのか?違いは、私には魔法を使う以外の選択肢がないということだ」


「何だと?!」


その答えはアナトリーには理解できなかった。しかし若い男はそれ以上語らなかった。もう一方の腕の袖口から、白い茨が飛び出した。それはアナトリーに襲いかかり、炎の体を腰から喉元まで絡め取った。棘は容赦なく肉に食い込み、茨は締め付けを強めた。


「ぐ……」


そして……棘は突然、大きくなった。刃のように長く伸び、アナトリーの体を貫いた。血が体と棘から流れ、街灯の上から地面へと滴り落ちた。同時に、体の炎は消えた。彼は動かなくなり、虚ろな目をしていた。


棘は引っ込み、二本の茨はアナトリーの体を放し、地面に叩きつけた。若い男はそれらを袖の中へと戻した。チュニックの下に巧妙に隠されていた。


彼は街灯から飛び降り、なお炎に包まれた路地を静かに後にした。


フェンストラが魔法の使用者を殺すために雇われたのは、これが初めてではなかった。自分自身もまた、密かにその一人であるにもかかわらず。

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