蜂の巣
たゆ
第1話 親友
「えっ!それマジでやばくない⁈」
「それなそれな、ギャハハハハッ!」
「マジでウケるんだけど!」
昼休み、教室で1人自習をしていると廊下から陽キャグループのこんな声が聞こえてきた。
甲高い笑い声とキンキン響く声は教室中にまで
満遍なく聞こえてくる。
「うるっさ。」
ドアの近くの席でお喋りをしていたグループが
割と大きな声でそんな事を言った。
その内の1人が立ち上がってバタンッとドアを力強く閉める。
(今日も騒がしいな、あのグループは。)
そんな事を思いながら鞄から教科書を取り出そうとすると隣の席の
炭谷さんは笑って
「今日も賑やかだね、
本当にね、と言おうとしたところ
「アッハハハッ!」
とまた菜々のグループが大声で笑ったため返事がかき消されてしまった。
私は思わずため息をつく。
先程から非常に騒いでいる陽キャグループは1組の騒がしいメンツが集まったグループで主にバレーボール部で構成されている。
その中の
(まあ、小学校でもうるさかったもんなあ…)
とはいえ小学校では"明るい"ぐらいのもんだったが、高校生になった今となっては"うるさい"以外の何者でもなかった。
私はまたため息をついた。
___
放課後になり教室には私と炭谷さんを除いて誰もいなかった。
(私もそろそろ帰るか…)
と思い鞄を持ち上げようとしたところ、机に引っかかって鞄に付けていたキーホルダーが外れてしまった。
「大丈夫?」
炭谷さんはそう言ってキーホルダーを拾ってくれた。
「ありがとう。」
お礼を言うと炭谷さんは
「そのうさぎのキーホルダー、可愛いね。」
と言ってくれた。
「うん、"山のうさぎ"っていう映画のキャラ
なんだ。」
「へぇーそうなんだ。
そういえば誰かもこれ付けてたなあ…」
その時教室の扉がバンッと開いた。
「莉子!一緒に帰ろう!」
入ってきたのは滝原菜々。
「うん、分かったからもう少し静かに入ってき
て…」
私はそう言ったが菜々は全く気にせずに
「そういえば"山のうさぎ"続編出るって!
観に行こう!」
「はいはい。」
「そういやさあ、ねえ聞いてよ!
溝口がさあー」
話しが長くなりそうだったので私は炭谷さんに
「じゃあまた明日。」
と言った。
炭谷さんは少し口元を緩めて
「相変わらず仲良いね。」
と言った。
私は思わず微笑む。
菜々は小学校からの親友だ。
性格は正反対だが一緒にいると不思議と安心する。
中高一貫校に入り菜々はバレーボール部、私は
料理部に入り少し距離が遠くなったが、
それでも私達は親友だ。
蜂の巣 たゆ @11253
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。蜂の巣の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます