第3話 Day3① いざ夢の世界へ
紳士たる心得を身に着けた僕であったが、珍しく頭を使ったせいで家に着くころには眠たくて仕方がなくなっていた。
本来であればアオイにあんな恰好やこんな格好をしてもらうつもりだったが、せっかくの絶景。元気な時に存分に味わうことにしてその日はしっかり睡眠をとることにした。
今日も僕の分身は絶好調のようだ。
「待っていてくれ、わが分身よ。今日こそお前に最高のオカズを提供して見せる。」
寝起きの頭で馬鹿な独り言を言いつつリビングに顔を出せば、彼女がいつもと変わらぬ美しさで朝ごはんを準備してくれていた。
「申し訳ございません、ご主人様。本日の朝食はいつものパンとコーヒーです。何か追加のおかずをご用意しますか?」
では、君のパンツをと言いたくなる気持ちを抑えて彼女に感謝を伝える。
コーヒーを飲んで目が覚めてきたところで、今日の作戦開始である。
いつの間に作戦を考えたのかって?昨日の帰り道には108通りの作戦が思い浮かんでいたんだよ。
「アオイ、今日は家事のほかに1つお願いしたいことがあるんだ。」
「何でしょうか。私にできることならなんでもおっしゃってください」
「じゃあ、セッ...」
おっと危ない。なんでもと言われてつい本音が。まったく魔性の女である。
「ごほんっ、最近体が凝っているようだからヨガを初めてみようと思うんだ。とはいえ、初めてでレッスンのようなものに行くのもハードルが高い。そこでアオイがインストラクターとしてヨガを教えてくれないか?」
「かしこまりました、初心者向けのメニューを作成しておきます」
よっしゃぁーーーー!第一関門突破である。
心の雄たけびを悟られないようにしつつ、極めて紳士な笑顔で僕は続けた。
「ありがとう、助かるよ。一応ヨガウェアはよく広告で見るようなものを買っておいたからこれを使ってくれ」
「ありがとうございます」
素直に受け取る彼女を見てもう笑いが止まらない。何なら分身も天を貫きそうな勢いで喜んでいる。
そう、これが真の紳士たる僕が考えた最強の作戦。名付けて
『えっ、健康のためにヨガを頑張るだけですよ?まずは恰好から入らないとね』
作戦である。
昨日、図書館の帰りに見かけたヨガスタジオの広告がエッチだっただから思いついた完璧な作戦である。広告のお姉さんがボディラインをしっかり見せるピッチピチのスポーツブラとレギンスを着ていたのだ。つまりそれが正装なのだ。
ヨガをするときにピッチピチの服を着るのは当たり前。
絶対どこかの紳士が考えたんだろうと思いつつ、しっかりと利用させてもらうことにした。アオイはこの服を着るときにはエッチコンテンツに該当するか検討する。しかし、僕が渡したのはちゃんとしたヨガ用の服。たとえ普段着ていたら痴女扱いされること間違いなしの極薄ピッチピチ素材だったとしてもヨガの服。ヨガの服がエッチコンテンツに登録されているはずもなく、コ〇ンの犯人は登場しないだろう。
彼女の超絶エッチな姿を想像するだけで分身からは涎が止まらない。
ちょっとパンツを変える必要があるようだ。
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