第2話 神童の演奏者

「まだ、ロマンは11歳ですのに、ワルシャワの楽団ですの」

「ああ、是非にと言われたよ、なんて栄誉だ

私達は素晴らしい神からのギフト…ロマンという宝物を得たんだ!」

二人の喜んでいる様子を見ながら、温厚で穏やかなロマンは微笑する。


ロマンが11歳の時だった

グジェゴシュ・フィテルベルク指揮のオーケストラと共演し、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団のソリストとしてデビューを果たす事に


「じゃあ、行ってきます」

まだ幼い子供のロマンが舞台に歩みだす


灯りが舞台のロマンを照らす

静かに微笑して


そう…

舞台に立てば

ロマンは幼い子供頃からの慣れた動作で

バイオリンを顎下にして、演奏の為の弓を手に

ボウリング(弓を動かす動作の事)しながら音を奏で演奏してゆく


人々の歓声が上がる。


頬を紅く染め、にこやかにロマンは微笑するのだ。


その後の事

「沢山、勉強をするよ、父さん、母さん」

彼は

カール・フレッシュ氏に師事


次にはパリでジョルジェ・エネスコやピエール・モントゥーに学ぶ事になる。


「これ程の才能があれば、なんて素晴らしい」

「君はまだ、子供なのに努力も惜しまずに

素晴らしい技術だ」



1930年代には

ヨーロッパ中で音楽のコンテストに参加


主要な音楽賞を受賞、総なめにしたのだった。


1931年

国際メンデルスゾーン賞を受賞

パリでピエール・モントゥーやジョルジェ・エネスクらと共演する


「大丈夫、緊張しない?」「大丈夫です、先生」

「イタリアの国王の前で演奏の名誉とは…!」


「ありがとうございます、与えられた神の加護と祝福に

皆さまの応援に心から感謝いたします」

少し、気恥かしそうに微笑み、ゆっくりと舞台に立ち

演奏を始めるのでした。


イタリア国王の前で演奏に

高名な演奏者達との音楽のツアー

そうして、国際的なキャリアを積上げてゆき


やがて、ヨーロッパ中が

恐ろしくも激しい戦争の嵐が吹き荒れる前


それは1938年の事であった。


彼は27歳の時に

「著名な芸術家」のビザによりアメリカ合衆国へと

渡る事に…

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