喪われたヴァイオリン
のの.まゆたん@病持ち返信遅めXも✿感謝
第1話 喪われたヴァイオリン
ロマンの娘は35年の歳月を経て
戻った伝説の名器ストラディバリのバイオリン
世界中にある現存する約600個の一つのストラディバリ
ストラディバリ…バイオリンをそっと撫でた
「後、五年早ければ、亡き父さんがどんなに喜んだか」
「…また演奏したかったでしょうね」
「ボストン大学の教授として、演奏者として
活躍した、優しい私達のお父さん」
娘のニナは泣き笑いのような表情を浮かべた。
◇ ◇
ロマン・トーテンベルク
彼はポーランドのウィチでユダヤ系として生まれた
やがて一家は第一大戦に
まずはロシアに移り、幼い少年ロマン・トーテンベルクは神童と呼ばれる素晴らしい演奏者
「演奏会に出る支度は出来たかい、ロマン」
「はい、父さん」「間もなく迎えが来るよ」
馬車に乗り込む親子を見ながら、付近の者たちが呟く
「あの幼い子供のお陰で、ユダヤ人だと言うに
家族達は暮らしてゆけるのさ」
「さすがは神童さまだね」
しかし、 ロシアで始まるユダヤ人への迫害に
やがては大戦の時代の荒波の中、アメリカに渡る事になる
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