探偵、黒井さんの不思議な雰囲気がとても魅力的で目が離せなくなります。好きなものに囲まれている世界。不思議なものにふれるとワクワクしてしまいます。
謎の建物、ビスマスの結晶、そこに住む男性、そして——猫。主人公が目にし、関わるものが、不思議なもので満たされています。これからどうなるのか、と思わされなところで物語が終わるのもまた、不思議な読後感。まるで猫のように、目が離せない物語でした。続編も読みたいです。
3部作でそれぞれ、探偵の側面がじわりとわかってくる感触が、とても心地よかったです。少し違うかも知れませんが、スフィンクスが出題したなぞかけを何となく思い出しました。大変興味深い小説でした。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(133文字)
日常とミステリーの距離感がちょうどいい作品です。難解さはなく読みながら自然に先が気になります。登場人物の関係性が物語を引っ張っており説明に頼らず会話と行動で進んでいきます。短編ですが薄さは感じません。静かな題材を扱いながら最後まで読む動機が途切れない構成でした。気軽に読めて読み終えたあとに納得感が残る作品だと思います。