朝一番に初めての日記を書いた理由は…
Rinza
朝一番に初めての日記を書いた理由は…
朝一番に初めての日記を書いてみることにした。理由はしょうもないかもしれないが、三つある。
一つ目はユーチューブでおすすめをしていたことだ。
そのユーチューブでは日記の書き方やその利点、日々の日記をつけていた偉人について丁寧に解説していたんだ。
それに感化された私は雑貨屋で日記用のノートを買うまでに至ったのであった。
どうだろうか、この自身のチョロさが垣間見えているようなエピソードは。
しかし、私にとってこのエピソードは墓で持っていきたい人生の汚点なのである。
理由は単純だ、なぜならこのエピソードは一年以上前の話だからだ。
ほらみろ、私の行動力のなさと面倒くさがり屋が垣間から全身を出したエピソードに早変わりしたぞ。
しかし、これには重大な理由があるのだ。
日記を書き始めた理由の理由の話という、わけわからんことになっているが心を広くして聞いてもらいたい。
そもそも日記というのは書くのに時間がかかりすぎるのだ。
日記を書く時間がとれない。
時間管理が得意な人ならそんな問題に直面しないかもしれない。
でも毎日、遅刻寸前と十分前登校の反復横跳びを繰り返している私にとっては、このような時間に関する問題に正面から全身を突っ込みに行くのは当たり前の話なのだ。
しかし本来は、現中学二年生の私にとって日記を書くための時間を用意するのは造作もない簡単なはずなのだ。それなのに書く時間がない。
それはなぜなのだろう。
ヒントは私が思春期であることだ。
そう、理由は単純、親に見られながら日記を書きたくない!
ならば、自分の部屋で書けば良いではないかと思う人々もいるだろう。そんな人々に言う。
自分の部屋が無い!!
一体なぜなのだ。
「うちは3LDKしか無いからお兄ちゃんの部屋しか用意できないのよ、ここは交通の便も良いし、防音もしっかりしているでしょう。だからね、無理なのよ~。」
じゃない!この世には3LDで兄弟二人の部屋を作り出せている親が何万人といるのだぞ。兄は小六で部屋をもらっているんだぞ。
おかしいだろ!!!
……一通り、親への不満を吐いたところで本題に戻ろう。
とにかく当時の私にはプライバシーがなかったのだ。
そのような理由で日記を書くことのやる気が失せて早一年、私に転機が訪れる。これから話すこと、それが二つ目の理由だ。
二つ目は最近読んでいる作家の趣味が日記を書くことであったからだ。
馬鹿らしいだろう。
でも芥川賞を大学生でとり今尚、現役で傑作をつくる偉大なる人間の趣味なのだ。
簡単にできることなら真似をしたくなるし、中学生からの習慣であると知れば対抗心を燃やす。
そういうことでやる気が出でくるのが人間で怠け者の私なのだ。
ところで、上記でも書いたように日記を書くことには利点があるらしい。
例えば、文才が上がるとか、今まで起きたことの振り返りになって人生が彩るとか。
ここまで書いてきた私にとって日記とは二時間以上も時間を奪ってくる想像以上に厄介なもので、そういう利点は何一つ感じられないのだが、一つだけ実感したものがある。
それは、途中から文章を書くのが楽しくなっていることだ。
というか文章を書くのが楽になってきている。
日記を書こうと考えたときはそのきっかけを書こうとしていただけで、プライバシーを侵害する親への不満や、日記を書くことの利点なんて書くつもりはなかった。
つい先程まで二時間十分ほど奪ってくと日記に厄介さを感じていたとは思えない褒めちぎりである。
その調子でどんどん日記を褒めていこう。
そして最後に私が日記を書き始めた理由の三つ目を話して終わろう。
三つ目は今日が日曜日であることだ。
もっと補足すると期末考査まで残り二日の日曜日だ。
どうしようか。
今まで日記で話してきたことが全て怠け者の戯れ言のようにしか感じられない。というか実際そうなのだ。
私の心は憂鬱になってきた。
この日記を書き終わったら勉強をしないとならないのか。
私は九時前から十一時二十五分までの間、数学を学ぶのに適すとされる時間を日記に奪われてしまったのだ。
そろそろ私はこの日記を終わらせないといけない。
なので最後の最後に日記に関するいつかの私へ、抱負を書いて終わらせよう。
アメリカでは日記を書くときに『Dear diary』直訳で『親愛なる日記へ』ということばを冒頭に置き、日記そのものに話しかけるように書く文化があるらしい。
私はその文化を真似してみたい。
でも、もしかしたら第三者や未来の私の共感性羞恥を心配する人がいるかも出てくるかもしれない。でも安心してほしい。
未来の私はこの日記よりも期末考査の点数に絶望するのだから。
朝一番に初めての日記を書いた理由は… Rinza @rinnza
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