【古代史】奈良散歩
くるくるパスタ
【序】 なぜこの土地なのか
日本という国がどこで始まったのか、と問われれば、答えはこの土地にある。
奈良盆地。東に三輪山、西に二上山、南に飛鳥の丘陵。この狭い盆地に、三世紀から八世紀にかけて、日本の原型となるすべてが凝縮されていた。
神話の神々。古墳に眠る王たち。蘇我氏と物部氏の抗争。仏教の伝来。藤原氏による律令国家の完成。それらが、驚くほど狭い範囲に、今も痕跡を残している。
十月、私はこの土地を歩いた。電車とレンタサイクルを乗り継ぎ、二泊三日。奈良公園から始めて、山の辺の道を経て、飛鳥で終わる旅程だった。
地理的には北から南へ移動するのだが、歴史的には逆行することになる。奈良公園の春日大社は八世紀、藤原氏全盛の時代に整備された神社だ。そこから南へ向かうほど、時代は古くなる。山の辺の道沿いには四世紀の古墳群が並び、大神神社には弥生時代から続く原始信仰が残る。飛鳥には六世紀から七世紀、蘇我氏が権勢を誇った時代の遺跡が点在する。
つまりこの旅は、完成された国家から、その源流へと遡る旅になる。
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