14

足跡に踏み荒らされた雪の道。

これが今年最後になるかも、とテレビの誰かが言っていた。

夜更けの雪が残った道は滑りやすくなっている。


「直ー! 待ってくれ! ……ったく、怖いもの知らずめ」


山田が迷いなく進んでいく背中に叫んでいる。

何も変わらない、いつもどおりの朝。


鼻歌交じりで歩いていた直は、ふと足を止めた。

道端の雪を指で掬い上げ、口元に運ぶ。


「ちょっ、お前! 汚いって言ったろ!?」



制止など聞いていない。

直の喉は上下に動き、口元を舌が舐める。


「……美味い」




――その表情は、誰かを思い浮かべているようだった。



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飢食は雪で満たされる 音央とお @if0202

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