第8話 『隔離生活と母の想い 』 【序章・第八節】

朝の光は薄く、研究室の窓から差し込むだけだった。

加奈子は手早く装置の確認を済ませ、アイラと明日香の状態を見守る。まだ眠っている明日香の小さな体を揺らしながらも、胸の奥には張りつめた緊張の余韻が残る。


アイラは明日香を抱き、劣化した体を支えながらも懸命に守っている。銀髪を揺らし、明日香の背を優しく撫でるその動きは、まるで姉が妹をあやすかのようだ。


“この子を、絶対に守らなければ――”

加奈子は胸の奥で小さく息をつき、二人の姿をじっと見つめる。


その背後には観察フロアで見守る研究員たちの姿がある。


志水(観察責任者):冷静で理性的。加奈子を尊敬しており、時にブレーキ役。


渋谷(若手技師):アイラのボディ調整・データ管理担当。訛りに気づくタイプ。


樋口(検査医):明日香の血液・因子量の測定担当。少し優しい。


研究員たちはそれぞれの役割をこなし、静かに状況を見守る。

志水が報告する。「クロノ因子の量は、徐々に安定しています。薬が効いてきたようです。」

渋谷はアイラの反応を確認。「問題なし。訛りはあるけど行動に影響はありません。」

樋口は明日香のバイタルを測定し、柔らかく微笑む。


加奈子は胸の奥で小さく息をつき、二人を守る覚悟を再確認する。

しかし、計測結果は一つの現実を示していた。

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