マイクロ・ニンジャ
花野井あす
ええあいシステム
「そうだ、庶民向けの情報屋をしよう」
それではハラスメント相談所と変わらぬのではないか。と
ゴシップ専門家となった元同僚、
「ん。寄り添うって。「わたくしめは常にお客さまの味方ですから、ご安心ください」とかなんとかそれっぽい言葉をかけて心理的に依存させるとかそういう話かい、
「そんなまさか。そんな本当かもわからないことはしねえよ、
からからと笑って
「なんじゃあ、あの糸は」
「おお。ちょうど分身のひとりが駆けつけたようだ」
「なるほど。圧縮分身体か」
「そう。
「ああ、知っているとも。お前さんに掛かればどんな情報もあっという間に集まったのだから、忘れるはずがない!」
分身の術というものは、忍術の中でも最上級の難術だ。
分身の術というものは、その名の通り自身の複製である。発案者は偉大なる伊賀のニンジャ、服部半蔵である。初代がワタシカメラを考案・開発し、二代目が実用化を実現した。伊賀ニンジャたちはカメラを片手に自身を撮影し、もうひとりの自分を投影・生成する。
だが多くのニンジャは自撮り技術がなく、中途半端に2/3だけ映してしまうとか、うっかり他の同僚の下半身も映して1.5にしてしまうだとかして、正しく分身が生成できない。
だが、
いまやハラスメント相談所の所長と落ちぶれてしまった彼は、インフルエンサーとしての一面を持ちながらニンジャ業に勤しんでいたのもあって、自撮り技術はピカイチだった。的確に自分だけを撮影し、そっくりそのまま作り出せる。しかも加工技術に揉たけ、分身サイズを二倍三倍にしたり、反対に二分の一倍三分の一倍にしたりする。もちろん、上半身が無いだとか左半身が無いだとかいったミスはしない。完璧に
「おれは「ええあい」という情報提供・画像文書生成システムをつかった商売を始めているんだ」
「ええあい?」
「そう。「
依頼とは、「気になる女性の好みの男性について」や「団子の相場と適正価格について」といった情報から、「好いた女に囁く口説き文句」案や風呂屋の設計図の代理作成や部屋に飾る美人画や風景画の生成など。
「まさか。ワタシカメラの分身まで作ったというのか、
服部半蔵によってニンジャの必需品となったワタシカメラ。その仕組みは未公開である。すなわりワタシカメラはブラックボックスであり、それゆえにその分身の生成に成功したニンジャはいない。あれの製造は服部半蔵の名を代々継ぐニンジャたちの役目なのだ。だが――その継承者でもない
「そうだ。依頼を聞いた分身が分裂して仕事をしたほうが、別の分身へ情報を伝達して仕事をするよりずっと的確だろう?伝言ゲームというものは余計な情報を付け加えたり、必要な情報を抜け落としてしまったりするものなのだから。もちろん、依頼主のそばに分身は二体残す。追加の依頼が来るかもしれないからな」
「……ん?二体なのか?一体でも三体でも四体でもなく」
「そうだ。二体がもっとも適切な数だからだ」
「仕方あるまい。二体と決めたきっかけについて……あの過去の事例について教えてやろう」
マイクロ・ニンジャ 花野井あす @asu_hana
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