宮崎つぶさ、二学期最後の事件
宗純無骨
第1話 導入
埃とカビの匂いがする。蜘蛛の巣こそ張っていないが、拭けば汚れていることを机たちは雄弁に語っていた。
「二学期も終わりだ。つまらない」
文芸部の部室を俺と宮崎が掃除をしていた。部員でもないのに部室の掃除をするというのは奇妙なものだが、生徒数が年々少なくなっている現状、余っている使える駒は有効活用しましょうというのが学校側の本音なのだろう。
「冬休みが明日なのに?」
宮崎はくるりとまわって俺を見る。スカートがふわりと舞って少しどぎまぎした。
「クリスマスも、誕生日でも、正月も僕たちをぬか喜びさせるための物さ」
シニカルに腐すが、彼女は事件というイベントにとても夢中だ。それも八面六臂の活躍で。
宮崎は絶えず事件に飢えている。彼女は皮肉もいう、被害者も絶対助ける。基本的に正義の人だ。俺はそれの手助けをやっている。
「しかし、ブルシットジョブを頑張るね、君」
「三日もかけている、早く終わらせたいだろう」
「事件解決の報酬が調理部からあるしな」
掃除も終わるころ、机からくしゃくしゃになった紙を見つける。開いてみると悪意的にとれる文章だ。
「二学期最後の事件かな?」
宮崎は楽しそうに笑う。彼女にとって謎は最高のプレゼントだ。
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