クラス転移で魔王になって追放された俺は、魔王になんかならないと誓って世界を救う

田村ひさし

クラス転移編

クラス転移

第1話 クラス転移

「俺は魔王になんかならない!!!」


 なぜ俺がここ、魔の森でそんなことを叫んでいるかというと、それは3時間ほど前にさかのぼる...


 元の星、地球では高校2年生だった俺、如月衛きさらぎ まもるクラスで陰キャとして扱われていた。いつもいつもクラスのヤンキーである業魔幸人ごうま ゆきとから暴力を受けては先生や誰も見向きもせず、相談も到底できやしなかった。そんなある日の朝、朝のHRのチャイムが鳴る。


 キーンコーンカーンコーン、と。


 このチャイムは俺にとって毎朝の救いだった。なぜなら皆先生が来るから静まって席に着くからだ。だがこの日、クラスに転機が訪れる。

 突然白く輝く大きな魔方陣のようなものが教室を包み込んだ。先生はまだ来ておらず、全員がパニックを起こす。


「ちょっ何だこれ!」


「えーなんかやばくなーい?」


「皆落ち着こう!…」


 そう言って皆を落ち着かせたのはクラスのリーダー的な存在であり、生徒会長も務める佐々木優太ささき ゆうたである。だがどんどん広がる光は待ってはくれず、全員気を失ってしまった。


「…ん、」


 目を覚ますとそこはまるでアニメの世界に出てきそうな、遺跡っぽいところだった。ざっと確認した限りおそらく俺が最初に目覚めただろう。そしてものの5分程度で皆が目を覚ます。全員がパニックになっている中、目の前の大きな扉が轟音とともに開いた。


「ごきげんよう、。」


 明らかに2次元っぽい格好の王女らしき女が出てきては俺たちにそう告げた。


「し、召喚勇者…ですか?」


 佐々木がそう言うと、女はコクンとおしとやかな笑顔でうなずいた。おそらくだが…俺たちはもう普通ではいられないんだろう。


「まずは、ステータスオープン、と唱えてみましょう!」


 女に言われるがままに全員がオープンした。俺はいまいち不安だったので、まだ開かないでおいた。


「皆さんのステータスパネルには、名前や年齢などの個人情報、基本ステータス、召喚勇者が書いてあるはずです。」


 女はそう言った。そしてなにやらよろこんでいる生徒もいれば、戸惑っている生徒もいる中で、急に女が佐々木をほめ始めた。


「あら!佐々木さんは()の能力を!…それは剣術に補正がかかる能力ですわ~…あら?そちらの綺麗な女性は…超回復師エクストラヒーラーではありませんか!素晴らしい!」


 どうやらクラス会長でありクラスで人気者の美少女、海野沙良うみの さらは最強ヒーラーのようだ。俺の能力は何だろうか、そう思っていたら突然!…


 続く

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