貞操逆転SRPG! ~世紀末救精主伝説~

@Alain4416

001 ~世紀末救精主伝説~ 貞操逆転世界に転生

「・・・すか、私の声が聞こえますか?」

「ああ」


 闇の中、耳元なのか頭の中からなのかわからないが女の子の声が聞こえる。


「聞いてください。唐突ですが私は女神です」

「ああ?」


 唐突だ。


「落ち着いて聞いてください、あなたは死にました」

「ああ?!」


 俺は死んだらしい。


 最後の記憶は京都観光の際お寺さんの長い階段を上っている最中に立ち眩みを起こして倒れた所だ。ぐしゃりと頭の骨らしきものが砕ける音を覚えているので、心当たりはある。


「早速本題に入ります。申し訳ないのですが、あなたに私の管理している世界に転生させて頂きました」

「転生」


 まあ今時のアニメやらラノベやらで流行りなので何冊かは読んだこともあり知ってはいる。


「でもなんで俺なんだ?」

「丁度良い出物がなかったからですね」

「出物言うな」

「一応転生先との相性や死因、死亡時間の一致とか色々あるんですよ」

「そうなんだ」

「・・・はい、先ほど階段にこぼれていた頭の餡子から知識を頂きました。それでは転生先に、私の権能で可能な範囲でチート能力を授けますね」


 頭の餡子て。


「平たく言えば、あなたは死んで平行世界に転生、転生先は中3男子。そんな所でしょうか」

「OK最低限理解。因みに拒否はできるの?」

「お勧めしません。もう以前の体は生命活動を止めてますし、元の世界で再転生だと良くてダンゴムシ人間ですね」


 人間の知性を持ったダンゴムシなのか、ダンゴムシの知性をもった人間なのか、どっちにしても碌なものではない。バッタ人間ならワンチャン戻る事も考えたのだが。


「さて、それでは今回の転生チートのレギュレーションを決めましょうか」

「今回?レギュレーション?」

「あ、次回があったとしても貴方の枠はありませんよ、それに私の管理先になるかもわからないので、まずは今から行ってもらう転生先で人生を全うしてください」


 なるほど、神様世界も色々あるらしい。これが神達の娯楽なのかバランス調整なのかは知らんが、その中には世界を作り変えるほどのチート持ちもいれば、耳かきを使わずに気持ちよく耳掃除が出来る程度の能力しかない転生者も、きっと転生者の中にはいるのだろう。


「そうですね、確かにそのような能力の人もいます」


 いるのか。


「貴方の場合は目的がそこそこ困難なので、頑張ってため込んでいた神パワーを300ポイントほど使いましたから、目的に沿った行動をして頂ければ間違いなくひとかどの人物になりますので心配しないで下さい」


 300ポイントがどれくらいの数値なのかいまいちわからないのが不安だ。


「折角なので今から状況説明とキャラシート作成を行います、まず状況説明です」

「よろしくお願いします」


 そういってテーブルと椅子2脚を一瞬にして出し、その上にキャラクターシートとみられる紙を広げ、また空中から紙とペン、少し厚めのを出してその横に置く。


 タブレットじゃないんだ。


「現在の状況ですが、貴方にわかりやすく伝えると、貞操逆転・平行世界・世紀末逆行人生といった所でしょうか」

「なるほど。貞操逆転世界は、理由があったりなかったりするが男女比が極端に女性が多くなっていたり、男女比はそれほどでもなくても、男性に問題が発生して草食系で基本引きこもったり、男女関係で受け身がちになるって解釈で大丈夫だよな」

「はい」


 その後詳しい流れを聞いた感じでは、戦前までは基本変わりなかったが戦後の核実験失敗が原因で、そこから少しずつ男性の肉体機能の低下が発生した。


 最初のうち事故発生時点で誕生、特に第2次性徴を迎えていた男性の能力低下は比較的緩やかだったため、1960年代後半までは殆ど問題視はされていなかったが、事故後出産した子供達が大きくなるにつれ、男女の性格・行動の逆転現象が目立ち始め、この世代が家庭をもつような年齢になり問題が表面化する。


 男女比の偏りと男性性機能減少


 事故前の男性の性欲減少もそれなりに見られたが、事故後の世代はそれに輪をかけて酷く、第一世代と呼ばれる1961年以降に生まれた男女同士の交配において、男性が出産された割合は30%、加えて子供の第二次性徴発生確率は30%、その後も低下が続き現在では各20%程度。


 第二世代と呼ばれる1986年以降生まれの男女に関しては、まだデータが出そろってはいないが第二次性徴が現時点で見られている子は1%。今までの統計からの予想としては、第二次性徴の確率は5%以下との予想が出ている。


 当然問題が発覚してから人工授精の研究も進んでいるが、人工授精での男子の40週までの流産率は95%。母体への負担を考えると推奨は全くできないと国際機関からも警告が発せられている。


「うわ~、何と言うか、詰んでね?」

「いえ、事故前の成人男性の最若が50代ですから何とかなってます。彼らと第一世代女子との交配でも、やはり第二次性徴を迎えた男子は2割程度ですが、まだ致命傷ではないですね。ただ第二世代男性の生殖能力に期待が持てない事もあって、今後を考えて強硬手段に出てしまう人が残念ながら増えてしまってます」


 と言ってため息をつく女神様。


「さて、続きましては平行世界についての説明ですが、ちょっと疲れたのでお茶してきますね」


 と言って闇の中に俺を置き去りにする。あれ、おれの分は?と思った所で唐突に強烈な目覚まし音と共に、足元が崩れる感覚と強烈な頭痛が俺を襲う


 そうか、死因が一緒なら転生先も頭部強打してるよね。


 激痛による気絶と覚醒を幾度となく繰り返し、頭痛が意識を失わせない程度に治まった頃から、少しずつではあるが、今の体の持ち主であった若者の記憶を引き出せるようになる。



 19XX年、世界は核の炎に包まれなかった



 だが、人類は核実験の失敗でオゾン層とかなんやかんやで人間のY遺伝子にのみ不具合が発生した



 種は枯れ、棒は萎れ、全ての男性機能が死滅したかのように見えた



 しかし、人類は滅亡してはいなかった。



 わざわざ記憶が戻ったタイミングでナレーションが入るのは如何なものか。


 頭痛と違う意味での頭痛を感じながらも、少しずつこの世界の情報が流れ込んでくる。


 なるほど先程の説明の通り、この世界では数十年前の事故から男性の機能が徐々に低下し、また段々と男性が生まれなくなってきているらしい。


 生殖機能もスタンド能力も低下、俺らの世代だと生殖能力を持つ成人男性でさえ1回弾丸を発射すると、2日程は静養を必要としかつ次弾装填まで平均5日、遺伝子情報の塊の運動量や生成量も少なく、一言でいえば


『週一やわめ薄目少な目』


 といった所。この体が大怪我をした理由も、第2次性徴を迎えた男が校内で、息子が親の心知らず自己主張をしてしまい、それを女子生徒に見咎められ乱暴を働かれそうになり逃走するも階段から落ちて

 あ~やめやめ!この体の遺伝子が記憶を取り戻すのを拒否している。とりあえずチート能力は気になるが、頭痛に耐えてこの新しい人生を生きることから始めよう。




 運命を切り開く男がいる



 遺伝子に背く男がいる



 それはY遺伝子救世の宿命



 見よ。今、この永き貞操逆転世界に終止符が打たれる



 やかましい!(心の叫び)

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