処刑エンド令嬢《レディ》は、令和JKで青春リベンジしたいっ!
チーム奇人・変人
第1話 処刑エンド令嬢、目を覚ましたらJKになる
この物語の主人公は、承認欲求強めのワガママ
なお、本人にその自覚は、まったくない。
彼女は数百年後の未来――令和日本の女子高生に転生し――
「青春リベンジ」を人生最大の目標に掲げ――
生徒会長を目指したり――
学園でハチャメチャしたり――
バンドを始めちゃったり――
とにかく、いろいろ大暴れすることになるのだけれど――
今はまだ、彼女はそのことを知らない……。
――――――
人は何のために生きるのか?――
そんな命題に対してハッキリとした答えを持っている人が、果たしてこの世界にどれだけいるだろう?
正確に言えば、考えようとしても、何ひとつ思い浮かばなかった。
人生に対して何か不満がある訳じゃない。
家庭は裕福な方だし、両親も精一杯彼女のことを愛してくれる。
学校では目立たない方だけど、幸いなことに誰かにイジメられたりとかもない。
不満なんてない。
だけど――その分、何の刺激もない。
特に趣味がある訳でもなく、何かに熱中したこともない。
だけど、いつも彼女の耳に流れてくるのは、不安を
――どうせ、何をやってもうまくいかないんだ
そんな
朝は重たい体を引きずって起きる。
学校では目立たないように静かに息をする。
誰かと話すたび、「変に思われていないかな」と胸がざわつく。
(どうせワタシなんて)
そんな言葉が口グセのように、いつも頭の中に張り付いていた。
もうすぐ高校入学。
本来なら、少しは期待してもいいはずなのに、ナデシコの心は沈んだままだった。
環境が変わっても、自分が変われる気はしなかったからだ。
このまま何者にもなれず――
誰の記憶にも残らず――
ただ「生きていただけの人」で終わる。
それが、彼女の未来予想図だった。
事故に遭ったのは、そんなことを考えながら歩いていた帰り道だった。
工事現場の横を通り過ぎた、その瞬間。
耳をつんざくような金属音。
誰かの叫び声。
視界いっぱいに迫る、落下してくる影。
そのすべてが、まるでスローモーションのように感じられた。
――危ない。
そう思った次の瞬間には、まるで雷鳴のように甲高い金属音が鳴り響き、強い衝撃が全身を駆け巡っていた。
息が詰まり、視界が白く染まる。
段々とフェードアウトしていく雑音の中で、ナデシコはぼんやりと考えた。
(……ああ、人生なんてこんなもんなんだ)
怖さよりも、奇妙な安堵があった。
もう、明日のことを考えなくていい。
もう、自分を責めなくていい。
意識が闇に沈んでいく。
――――――
一方そのころ、遠い昔、遠い国。
目隠しをされたひとりの
名を、ジェーン・グレイという。
彼女が
王冠は重く、世界はあまりに無慈悲だった。
敗北――
幽閉――
そして、非情な死の宣告――
「……理不尽ですわ。なぜワタクシが処刑されなければならないんですの?」
震える声でそう呟きながら、ジェーンは空を仰いだ。
怒りも、恨みも、悲しみも、どうしようもなくモヤモヤとしたどす黒い感情も胸の中で渦巻いていた。
急転直下の大転落劇に彼女は愛らしい顔をくしゃくしゃにして泣き叫び、無様にも命乞いまでした。
力の限り暴れまくって、看守を呆れさせたこともあった。
それでも、間近に迫った死に際して彼女が最後に願ったのは――
「天に
刃が振り下ろされる、まさにその瞬間。
ジェーンは祈った。
(普通の少女として、平穏無事に生きたいですわ! ……それと、できれば“ちょっと”ちやほやされたいですわっ!!)
純粋で不純な、祈り――
すると、不思議なことが起こった。
薄れゆく意識の中で、確かに“声”が聞こえたのだ。
『――その願い、しかと聞き届けました』
男のものとも女のものとも分からない。
高くもなく低くもなく、抑揚の無い“声”。
(……ほえぇ?)
それは神の声なのか?
都合の良い幻聴なのか?
それを確かめる間もなく、次の瞬間には、世界はぐるりと暗転した。
――――――
「……!」
――……ん?
周囲から何か呼びかける声がして、ジェーン・グレイはゆっくりを目を覚ます。
真っ白な天井。
装飾が何も無いのに、チカチカと妙に明るい。
「……ここは、どこですの?」
首を少し横に傾ける。
身体がものすごく重く感じる。
「ナデシコ!」
視界に映った男性が、目を大きく見開いて彼女に呼びかける。
「ああ、良かった……」
男性のすぐ後ろで、女性が
だけど――
「……どなたですの?」
その顔に見覚えがなかったジェーンは、キョトンとした顔で
瞬間――二人の顔から血の気が引いていく。
そして、絶句。
――どうやら。
目覚めて早々、盛大に“やらかしてしまった”らしい。
(……でも、ワタクシのせいではありませんわよね?)
ジェーンは、霧がかった意識の中で、そう思った。
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