ファンタズマルアーク ~異種族トーナメント~
一大路 枝成
第1章 勇者シングーと仲間たち
遠い昔に神話の名残がまだ残っている世界で人間と魔族が混在して互いに争いを繰り返していた頃、
「ヒャッハ―――――‼人間どもを血祭りにしろ!女子供は食いつくしてしまえ!」
「人間など畜生以下のゴミだ!奪え!殺せ!死ぬまでこき使え!」
醜悪な魔物の軍勢が人間の住む町に侵略し蹂躙していった。町の人間達は魔物から逃げ惑い、命乞いして叫んでいる。
「やめてくれ!殺さないでくれ!」
「どうか!命だけは!せめて子供達だけは!」
「うるせえ!人間風情がオレたちに口出ししてんじゃねえよ!」
阿鼻叫喚の地獄となった町から逃げ出そうとした生き残りの人々に魔物の凶刃が無情にも襲い掛かる。その時、
「そこまでだ!散れ!『鎌鼬』!」
何者かの呪文により無数の風の刃が風を切るように走って魔物の兵卒を切り刻んでいく。
「あなたは、もしや・・・勇者様!」
間一髪のところで人々の前に颯爽と現れ、マントがはためかせ剣を携えた青年が魔物の軍勢を打ち倒していく。そして、
「護って!聖なる障壁『セイクリッドバリアー』!」
「祝砲よ!爆裂なさい!『ボンバーロケット』!」
「火精よ。漁火を掲げて捕らえよ!『サラマンダーセイン』!」
「疾風にて切れ!『天羽々矢』!」
勇者の青年の側にいる聖女、魔法使い、エルフ、鳥人の仲間が町にいる魔物を制圧していく。魔物の軍勢はあっという間に総崩れとなり魔物達は顔面蒼白にして動揺していた。
「おい!アイツら噂の勇者一行じゃねえか⁉」
「違いねえ!くそっ!退却だ!」
「魔王様!お助けを~!」
魔物の軍勢は町から引きあげていき、町の侵攻は勇者達によって抑えられた。その町の長老が勇者達の前に出て礼を述べる。
「勇者御一行様!我らを助けてくださりありがとうございます。」
「礼には及びません。魔王討伐の旅の途中で偶然寄っただけですので。」
羽毛で覆われ道着を着込んだ筋肉隆々の鳥のような亜人種がそれに答える。
「この町の犠牲になった方々に安らかな導きをお祈りいたします。」
跪いて手を組んだ聖女の格好をした青い目の少女が神に祈りを捧げていく。
「怪我をした者にはこの回復薬を使うとよろしいですよ。」
そう言って長い髪と耳をした法衣を纏ったエルフが薬を手渡していく。
「あの魔物達は根城に戻って応援を呼ぶはずよ。さっさと行くわよ!シングー!」
魔法使いの赤い髪の少女が杖を掲げながら勇者の青年の名を呼び、彼は答えた。
「ああ!僕達で魔族の侵略を食い止めよう!」
人々は魔族に対抗するために武器や武術や魔術、神通力などを身につけることで人間に仇なすモノからの侵略に耐えてきた。数百年もの間、人間と魔物は侵略と撤退を繰り返していたが、とうとう強大な魔王ゼクスタザトスの出現により人類は次第に追い込まれていった。今や魔物が築いた大国の四方にそれぞれ人間の国が点在するのみとなり、そこでは各々の国王によって人々は統治され魔王の支配からの抵抗を続けている。少し時を遡ってシングーの生い立ちと彼らの出会いを見てみるとしよう。
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