第5話 カブト狩り

深夜、カブト狩りをするため、府内の山奥、友人と二人、街灯もない山道を

歩いていた。

真っ暗ではあるが、目が慣れてくると、月の灯りで道がうっすら白く浮き上がって見えてくる。静かすぎる。一人では無理だ、歩けない。

幼虫が採れるポイントになるのは、古いお堂だ。目印だ。お堂の近くの林の中だ。

古く無人のお堂だが、丁寧に綺麗に管理されている。

「んっ?」

「なんか聞こえる」

耳を澄ますと、こっそりと囁く様な、鈴のねの様な音している。

「男?」

「お堂の方?」

お堂の方から何かしら、音がしている。友人にも聞こえているということは気の所為ではない。近づくにつれて、はっきりと聞こえる。

「軒下かな」

その音がお経だと分かった時、二人とも走り出していた。


静寂に追いつかれそうだった。

ただそれだけだ。

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だからダメだって言ったんです 真千 @grossa193

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