だからダメだって言ったんです
真千
第1話 黄色のニット帽
これから話すことは、日々の生活の中で起こった様々な出来事を書き連ねていく事が目的だ。そう、残す事が目的だということを覚えていて欲しい。
私はオーバーツーリズムでうんざりしている地域に住んでいる。道ゆく人の80%が異国の人達という異常な状況だ。
だから観光客を避けるために裏道を通る。夜になると薄ら暗く人通りは殆どない。早足だ。降りた駅から暫く歩く。路地を通る。幾つかの路地を歩く。最後の路地。ここを過ぎれば大通りに出る。
「誰かいる」最後の路地に入った先、道の真ん中に誰か立っている。
近づくと背の高い細身の男性だ。服装は覚えていない。唯一わかった情報は、黄色のニット帽。最近は天候季節に関係なく被るものなのか?少し汗ばむ季節だ。
「嫌だな」そう思った。
走り出す事、道を戻ることもできない。要は刺激したくないと思ったのだ。
そう言う思いを抱きながら徐々に距離が縮んでいく。ニット帽の男は微動だにしない。真隣にきた。突然ニット帽の男はジャンプをしだした。
高く高く、同じ場所で飛び続ける。「まじか」心臓がバクバクしている。走り出して追いかけられる恐怖もあったので、そのまま通り過ぎた。
前から女性二人が歩いてきた、楽しそうに笑いながら、「危ない」と思いながらも、大通りに急いだ。
ただそれだけだ。
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