オド〜国家公安省異常対策第13課〜

ガオ・ダーシン

第1話 タコニンギョウ

 千葉県房総半島。その某浜辺。

 ここで、奇妙なが座礁しているという地元住民の情報がオドに入った。

 現場に急行したのは、出雲大河と神村彩奈の二人だった。

 この二人は、異常アノマリーと総称される超常現象及び存在に関するエキスパートである。

 現場の浜辺に着いた二人は、早速捜査に乗り出す。

「先輩……。これかなりグロテスクですよ……」二つ年下の彩奈が大河にぼやく。

「確かに、できれば近づきたくはないな……」二人が目にした巨大物体の正体は、体長が十メートルはありそうなタコであった。

 しかも、その頭部が人間の顔が溶けたような気持ちの悪い形状をしていた。

「生体反応は無い。死体だな」大河は専用デバイスで巨大物体を分析する。

「先輩海鮮好きでしたよね?どうです持ち帰ります?」

「そうだな、それなら刺身にして君にご馳走しよう」二人はジョークを言いながら物体に近づく。

「ますます人間の頭部に見えますね」

「ああ、まるでだ」

「それって古い文献に出てくる異常アノマリーですよね?」

「しかしこれは、文献のやつよりずっと大きい」

「新種ですかね?」

「とにかくラボで徹底的に調べよう」大河は分析官として、タコニンギョウの一部を採取しようと手を伸ばした。

 その時だった。タコニンギョウの頭部の目玉がギョロっと開いたのだ。まるで人間の目のそれであった。

「こいつ生きてたの!?」彩奈が驚く。

「だが生体反応は無かったぞ……!?」大河は焦った。タコニンギョウは大きな触手を動かした。

「まずい!一時撤退だ!」

「了解!」二人はその場を離れた。タコニンギョウは海に帰っていった。人間のようなうめき声を上げながら。

 


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