5.2.ネストル(雄個体)

・名称

ネストル(雄個体)


・危険度

[safe]


・外見

 雌個体と同じで紐状の肉を束ねて固めた様な姿をしているが、こちらは人型では無く、内側に空間がある大きなテントの様な形をしている。基本的には森の奥地や洞窟の中に隠れており、移動手段は存在しないと見られている。


・能力と習性

 雌個体と違い、人間の女性に作用する幻覚幻聴の様なものは使わず、生息地から触手を長く長く伸ばして夜中に寝ている女性を攫う。触手は際限無く伸びると見られており、海岸沿いに触手を伸ばして陸の反対側にいる女性を攫った個体が居ると言う話すらある。

 女性を攫う際は就寝している女性を狙い、触手から粘液を女性の口に流し込む。こうすると女性は深い昏睡状態に陥り、攫われても途中で目も覚めない。

 攫われた女性はネストルの体内に入れられる。女性は目を覚ますとそこからの脱出を試みるが、その試みが成功することは少なく、多くの場合は途中で体力が尽きて諦める。

 ネストルの体内では、一定時間ごとに女性がよく見知った食事に見えるものが与えられる。食器も共に与えられるが、それも食べることが可能である。おそらくは幻覚作用でネストルの体組織を食事に見せられているものだと考えられる。

 体内にいる間は食事・睡眠に困ることが無く、外的要因でネストルが殺害されない限り安全が保障される。

 いつしか、女性は性的な行動に及んでいないにも関わらず妊娠する。腹は1ヶ月程度で膨れ、そのまま出産される。この際、生まれ落ちるのは明らかにネストルであり人の子供ではないが、女性はこの子供に強い母性愛を感じ、これを通常の人の子と同じ様に育てようとする。

 ある程度育つとネストルの子は自然に消え、女性は元いた人里に戻される。


・対処法

 雄個体のネストルは隠れているだけで戦闘能力を持たず、非常に弱い。見つけ次第駆除されたし。

 この時、中に攫われた女性がいる可能性があるため、注意する事。

 また夜のうちに女性がいなくなり、尚且つ女性の寝所にネストルと見られる粘液が残っていた場合は高い確率でネストルに攫われている為、粘液を始めとした痕跡を辿り、可能な限り早く救助する事が望ましい。


・所見

 ある村では、妊娠中の女性がネストルに攫われた。攫われた当時はまだ妊娠3ヶ月程度だったにも関わらず、3ヶ月後に帰って来た女性はしっかりと人の子供を抱えていたと言う。不審に思った夫はその子供を女性から引き剥がそうとしたが、女性はあまりに強い力でこれを拒否。夫をそのまま殴り殺してしまった。

 ネストルから解放された女性は、本当に何もされず、そのまま解放されているのだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

有害魔獣図鑑 鳩のまーりぃ @minuteparticle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ