第9話

ふっと息をついて彼が、ティシューの箱を、そっと近づけてくれた。


ズズー。


鼻を、かんだ。思いっきり、かんだ。


泣いていた、わけのわからなくなっていた空気が、ほどけてく。


「あぁ・・・・・・」


息を洩らした。


彼を見る。ああ、彼の眼差し・・・・・・。


こんどは、ぎゅっと私が彼を抱いた。


ありがとう・・・・・・。

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