第7話

「いいよ、そんな・・・・・・。無理することない。無理すること、ないよ」


彼の、ぬくもりが覆ってきて。


びっくりした。


途端に。


うわぁー、っと、なにかわからない感情が、溢れた。


「ごめん、ごめんね、私、私ね・・・・・・」


うわうわ、と、くちが戦慄く。じぶんで、なにを言ってるのだか解らない。


「いいよ、もう。だいじょうぶだよ」


彼の声が、いつもより優しく響く。


「なんにもできないの、私。なんにも。ごめんね。いつも迷惑かけてばかりで、それなのに、なにも言わないから、ずっと後ろめたかった」


「うん」


彼が、優しく私の髪を撫でてくれた。


「なんにも、してきていないもの。この人生で、なんにも・・・・・・」


「うん」


「ずっと、人の所為ばかりにして、じぶんでは、なんにもやってこなかった。もたもたして、けっきょく、なにもできなくて、でも・・・・・・」


泣いていた。

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