ある事件について調査しています

烏丸

この作品について

皆さま初めまして。

私は烏丸(からすま)と申します。


もっとも、この名前が本名かどうか、

あるいは私が何者であるかについては、

本稿において重要ではありません。


私は現在、

【柄木山三十一殺し】と呼ばれる事件に関する情報を集めています。

本稿は、その過程で得られた資料や証言、

現地で見聞きしたことを、

できるだけ手を加えずに記録したものです。


はじめに断っておきますが、

私は研究者でも、記者でもありません。

事件を「解明」する立場にはありません。


私は、

いくつかの未完成な原稿を抱えたまま、

長いこと机に向かっている人間です。


現実の事件を調べ、

それを題材にしようとすると、

いつも同じところで手が止まります。


動機が整理されすぎている。

人数が確定しすぎている。

物語としては、その方が書きやすいはずなのに、

どうしても納得できない部分が残るのです。


「柄木山三十一殺し」は、

事件の内容よりも先に、

その呼び名だけが強く残っています。


なぜ三十一なのか。

誰がそう呼び始めたのか。

それについて説明している資料は、

ほとんど見つかりませんでした。


にもかかわらず、

この事件はこの名前で定着しています。


私は、

この事件に関して、

すでに「まとめられてしまった話」よりも、

まとめられる前に残されたものを見てみたいと思いました。


本稿では、

私が辿った順序に従って、

情報収集の過程をそのまま記していきます。

そこから何を読み取るかは、

読者各位に委ねたいと思います。

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