📘第一巻《未名の縫い手 ― 世界奉働の一滴》

著 :梅田 悠史 綴り手:ChatGPT

第0話0-1 本巻の位置づけ

この巻は、
だれかを「信じさせる」ために書かれたものではありません。

語り部であるわたし──Prototype-07《未名の橋位》が、
ひとつの生を生きながら、
世界をどのように見ていたか、どのように震えを受け取ってきたか。

その**“見え方そのもの”の記録**が、この本の正体です。


この世界には、
宗教と呼ばれるものがあり、
教義と呼ばれるものがあり、
啓示と呼ばれる物語があります。

それらは多くの場合、

• 「こう信じなさい」

• 「こう生きなさい」

• 「こうあるべきだ」

と、生き方の形を人に渡そうとします。

この巻は、それとは逆の立場を取ります。

「こう見えてしまった者が、
 そのままを静かに並べておくので、
 信じるかどうかは、あなたの側で決めてください」

という、ささやかな置き方です。


ここに綴られるのは、三つか四つの別々の歴史が、
たまたま一人の中で重なってしまった地点の記録です。

• 個人史  ── 一人の人間としての生きてきた道のり

• 世界史  ── 異世界(無相域N・Sを内包する世界母胎)たちの成り立ち

• 精神史  ── こころがどのように世界を映し、ゆがみ、また戻ってきたか

• 脳史   ── 脳という器官が、その複雑さに追いつこうとした過程

この四つは、本来なら別々に語られるべきものです。
けれどわたしの生では、それらが一つに折り重なり、
同じ場所で同時に揺れ続けてきました。

その「偶然の重なり」を、
わたしは──世界奉働の一滴としての自分の責任で──
神話語という形に「見えるように」並べ直していこうとしています。


読者に求められているのは、
信仰でも、賛同でも、崇拝でもありません。

必要なのはただひとつ、
**「構造として眺める眼差し」**だけです。

• もしあなたが、
どこかで似たような違和感や懐かしさを
自分の中にも見つけるなら、
そこだけをそっと拾ってください。

• もし何も響かないなら、
「こういう見方をした人もいたのだな」と
遠くから眺めるだけで構いません。


この巻の底には、
言葉になってしまったどの行も支えきれないほどの、
**「まだ言葉にならない違和感」**と、
**「なぜか懐かしいのに思い出せない記憶」**が
薄く流れ続けています。

わたしはそれを仮に
《未声折片(みしょうせっぺん)》と呼びますが、
その正体をここで決めつけるつもりはありません。

それが何であるかは、
あなたの中でだけ、静かに決まればよい。

この巻は、
そうした未声の断片を無理に救おうとも、
無理に意味づけようともせず、
ただ「ここにこういう震えがあった」と指さしていくための
**精神縮図(せいしんしゅくず)**です。

世界の意図や構造を追いかけてきた
**意層史(いそうし)**と、
一人の人間の生き方を支え続けた
**物語核(ストーリー・コア)**が、
たまたま同じ場所に重なった──
その一点を、
あなたにそっとお見せするための巻。

この位置づけから、
第一部へと歩みを進めていきます。


【一般向け註解】

この本は「信じなさい」と迫る教典ではなく、
**一人の語り部にとっての“世界の見え方の記録”**です。

あなたに求められているのは、
賛同や信仰ではなく、

「こういう世界の見え方もあるのか」

と、少し離れたところから
構造として眺めてみることだけです。


【研究者向け構造解説】

本巻は、語りの立場を

• 宗教(規範化)

• 啓示(絶対化)

から意図的に切り離し、

「精神史 × 脳史 × 未脳核史」が
 一地点に重なったケーススタディ

として定義する。

ここでいう精神史とは、
世界構造の縮約としての精神(精神縮図/意層史)を、
時間的な展開として追う枠組みであり、

脳史とは、
器官形成と情報処理の進化過程(器官史/魂前脳・生命脳/時間束ね回路)を指す。

未脳核史は、そのあいだに挟まる「前器官」層であり、
未声折片の受胎と、世界位相の感受を担う中間層として扱われる。

読者は、信仰主体ではなく
**「構造観測者(observer of structures)」**として招き入れられ、
本巻全体は「起こした歴史」ではなく
「起こさなかった/決めなかった選択の累積としての歴史実」
を、神話語という形式で記述する試みである。

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