Lonely sky 〜闇に光を〜

非 非国民

第1話 ドリーム オブ ザ スカイ

時に人は、夢をみる。

1945年アメリカ、人々はそれぞれの夢を空に飛ばした。

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ルート「テクおじさん、整備終わった?」

テク「あぁ、バッチリだぞ」

ルート「ありがとう」

テク「ところで今日で何戦目だ?」

ルート「7戦目だね」

テク「そうか!今日勝てば借金はほぼ無くなるな!」

ルート「ほんと!?じゃあ勝つしかないね」

テク「あぁ、頑張ってくれ」


”ドリーム オブ ザ スカイ”それは戦後のアメリカ裏社会で流行った飛行機が1対1で空戦を行う違法な大会である。

この大会のルールは至ってシンプル。

撃墜すれば勝ち。

持ち込まれる機体は問われない。

多くの参加者が二次大戦で墜落した機体を裏ルートで入手し、修理して運用したが、中には1から作り上げる猛者もいた。

そして、試合に勝てば無条件で50万ドルが手に入った。


第1話『ドリーム オブ ザ スカイ』


ブーンブーン。

小さな小さな滑走路からエンジンの轟音が響く。


テク「前回の試合で不調だったエンジンは完全に治しておいたぞ」

ルート「オッケー、ありがとう。ところで、今日はベルおじさんは来てないの?」

テク「あー、もうすぐ来るはずなんだが」

???「おーい!!」


遠いところから声が聞こえる。


ルート「あ、ベルおじさん!」

ベル「すまんな、遅れてしまって。さぁ、頑張ってくれよ!」

ルート「うん、絶対に勝つよ。じゃあ、行ってくるね」


ルートはキャノピーを閉じ、機体の離陸作業に移った。

大きな4枚のプロペラ。短い主脚。そり返った翼。そう、ルートの愛機は“F4Uコルセア”である。


無線「聞こえるか?」

ルート「よし、聞こえてる」

無線「そろそろ敵機の正体が分かる」


この大会は試合が始まるまで、対戦する機体はわからないのである。


ルート「スピットファイアだな」

無線「タイプは何か分かるか?」

ルート「分かるわけないでしょ。生産型だけでも24種類あるんだよ?」

無線「だよな。まあ精々頑張ってくれ。勝ってくれればなんでも良い」


次の刹那、コルセアは雲はダイブした。


ルート「さーて、コイツは、もらったな」


2000馬力のエンジンパワーで一気にスピットファイアの懐に潜り込み、12.7ミリ機銃をぶっ放した。

弾丸はスピットファイアの水平尾翼を粉砕。


ルート「...あれ?コイツ、しぶといな」


背後を取ってトドメを喰らわそうとした瞬間だった。

スピットファイアはここぞとばかりに機首を上げて一回転。

コルセアの後ろを取った。


ルート「へぇ、やるじゃない。ま、俺も出来るけど」


次の刹那、コルセアはスピットファイアと全く同じ動きをして背後を取り返したのだ。

ルートは引き金を引いた。

スピットファイアの主翼、胴体下部には穴が空き、機体はゆっくりと降下していった。

海面に墜落したのを確認し、証拠の写真を撮ると、ルートは自分の飛行場に帰るのであった。


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〜次回予告〜

7戦目で勝利を飾ったルートは次なる戦いへ挑むのであった。

8戦目に姿を現したのはコルセアと同じ逆ガル翼を持った怪鳥であった。


次回『逆ガルの殴り合い』

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