繋ぐ者

@hashito_

第1話

僕の掌には傷がある。

左手に三本、右手に七本。

全部で十本の、白い線。

これが僕の能力の「残り回数」だ。


僕の能力は「繋ぐ」ことだ。

触れた二つのものを、接合できる。

ただし、代償がある。

一度「繋ぐ」たびに、掌の傷が一本消える。傷が全て消えたら、僕は二度と能力を使えなくなる。

そして、傷は増えない。生まれた時から十本。それが僕の「持ち分」だった。

十七年間で、僕は既に傷を十三本使った。

残りは七本。


能力者は、珍しい。

正確な統計はないが、十万人に一人程度だと言われている。日本全国で千人ちょっと。僕が住んでいる県には、僕を含めて三人しかいないはずだ。

能力者の存在は、公には知られていない。

政府は把握しているらしいが、公表する気はないようだ。パニックを恐れているのか、あるいは利用価値を見出しているのか。いずれにせよ、僕たちは「普通の人間」のふりをして生きている。

能力者同士が出会うことは、滅多にない。

だから、僕は自分の能力の「使い方」を誰にも教わらなかった。

全て、自分で試して覚えた。

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