転生の恋

@mt_megane

第1話

序章  罪と罰



俺たちが何をしたというんだ!

ただ愛する人と愛し合っていただけなのに




愛する彼女と慎ましくも幸せに暮らしていたある日

神の遣いだとかいう連中が突然あらわれ、

俺と彼女は引き裂かれた


気がついた時には俺は手足を拘束され、

目隠しをされて物のように転がされていた


ここは…? 彼女はどこにいる!?


声を張り上げても誰も何も答えない

俺の他に誰かいるかもわからないまま何日も過ぎていく


今が昼か夜かもわからない


ある時、身をを捩っていると手足の拘束が少し緩んだ

解放された指先で目隠しを乱暴に取り除く

数日ぶりの日光に目が眩んだ


何度も瞬きを繰り返し、明るさに慣れた頃

俺の目の前に聳え立つ人影にようやく気が付いた





己を神だというそいつが宣うには


俺たちの恋は人としての理から逸脱している

このまま野放しにする事は出来ない…だと!?


――ふざけるな!俺たちはっ!!


俺の言葉を口から発せられるよりも早く、神によって言葉を奪われる


無情な神々から言い渡される罰により、


今後俺たちは何度生まれ変わろうと

同じ種族に生まれ落ちる事はない

たとえ出会えたとしても

結ばれる事は

未来永劫叶わない


神は感情を込めることなく淡々と告げ

その場から消え去った



馬鹿にするな!

俺たちの事を何も知らないお前らが

俺たちの未来を勝手に決めるな!!


その場に1人残された俺は力無く崩れ落ちる



…わかっている

俺が、ただの人間が何を言ったところで

神の決定が覆る事はない

それこそが世界の理に組み込まれるのだ


でも…

だったらせめて…

彼女だけでも人として幸せな人生を!


俺はどうなってもいい


何に生まれ変わってもどんな人生でもいい


彼女を抱きしめる事は…叶わなくてもいい




だから……せめて彼女だけは…!!!

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