第10話…森の中で

森を進むにつれ、胸の奥のざわつきは少しずつ落ち着いてきた。


風がそよぎ、葉のざわめきが耳に届く。

小さな生き物もそばにいて、心は少し穏やかだった。


木漏れ日が差し込む広場に出ると、森全体が静かに息をしているようだった。

光が柔らかく差し込み、足元を照らす。


——私は守られている。

——私は必要なんだ。


胸の奥に温かさが戻り、安心感が広がる。

まだ不安は完全には消えていないけれど、

歩きながら受け止められる自分になれた気がした。


森の光と小さな生き物の存在を感じながら、

私は深く息を吸い、静かに吐いた。


森は今日も優しく、温かく、

私を迎え入れてくれている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る