JEWEL SOUL  ――世界樹の巫女―—

@frostman

前口上


一輪の花が咲いている


世界の誰からも、何からも忘れられた様なセピア色の荒野に

白く小さな一輪の花


それは、動物も植物も存在しない大地を照らす

唯一の命の灯火


その灯りは儚く、孤独


しかし決して消えることはなく、揺るがない

世界を照らすことを、自らの存在をあきらめない

  

雨に濡れようとも、嵐に吹かれようとも

かつて、その身を焦がした戦乱の如き炎に焼かれようとも


咲き続ける


それが語り部たる己に課した、ただ一つ残された意義であり、望みであり、約束


なんのため、誰のため

いつの始まりから、どの終わりまで


その問いに答えは必要ではない

ただ己の存在が必要なのだ



一輪の花が咲いている


その身に宿す魂を、宝石の様に煌めかせながら


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